CAN / Monster Miovie (1968) 感想


Monster MovieMonster Movie
(2008/04/15)
Can

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センス良いのか悪いのか微妙な所のジャケ。好きです。

(佳曲)<太字(好み)<普通 赤太字は名曲 灰色は好きでない、下線は個人的なベストトラック
トラックリスト
01. Father Cannot Yell 7:06
02. Mary, Mary So Contrary 6:21
03. Outside My Door 4:11
04. Yoo Doo Right 20:27 

Total length 38:05

総評・★★★★★
音楽のオーパーツ、原始的な快楽性を秘めた狂気のプロダクション

60年代後半に結成されたCANは別に大ヒット曲を持つわけではありませんが、洋楽ロックを聞いていけば必ずぶち当たるバンドだと思います。というのも、音楽評論家なら「CANっぽい~」、ミュージシャンなら「CANを意識した~」みたいな発言をとにかく至る所で見かけるからです。ロックはもとより、エレクトロニカ作品のライナーノーツにまで姿を現すので、名前の登場頻度はベルベッツと並んでトップクラスといっていいでしょう。CANはそれだけ多くのミュージシャンに影響を与えた、ポピュラー音楽史にとって重要なバンドなのです。
そんなCANのファーストフルアルバムが今作、モンスタームービー。4曲38分という実験的な構成ですが、音楽性は実験的を通り越して、むしろもう原始的な曲が並んでいる気がします。コード進行和音云々以前の、ひたすら直感的で危険な音のせめぎあい。ギリギリを攻める様なスリリングさじゃない、完全にかっ飛んでいる演奏。その狂ったような異常なテンションの一端を担っているのが素人ボーカル、芸術家志望のムーニーですね。彼は本当に音楽的ド素人で、バンドに入るまでロクに歌を歌った事すらなかったそうですが、そんな彼の歌唱…というより叫びは鬼気迫るなんてものじゃなく、正しく「イカれてる」ものです(実際彼はその後ほどなくして精神を病んでしまうのですが…)。まずこんなボーカルを採用するバンドはないので、このボーカルがまず初期CAN最大の特徴と言えるでしょう。

全4曲、どれもとても聞きごたえのある作品が並ぶのですが、特筆するべきはやはり2、4。「憎しみを吐き出す」とかじゃないく、単純に「コイツやばくね?」というボーカルが、執拗な反復演奏の中我を忘れて果てしなく登りつめていくのに合わせて、バンド演奏まで異次元へ飛んでいく様が危険なカッコ良さを持っています。原始時代に奏でられてもおかしくないような本能的な高揚感。何より、何かに取り憑かれたように自身を叫び上げるムーニーの、その尋常でないテンションに音でついていけるバンド陣が本当にすごいと思います。そんな事が出来るバンドも自分の知る限りCANしかいないです。ホント、とんでもないアルバムだ。

この作品の何が良いって、そんなこと言いつつも割と聞きやすい所。4曲とも輪郭がはっきりしており、基本は即興演奏といえど全体像は掴みやすい曲が並んでいると思います。確かにムーニーは危険すぎる存在ですが、個人的にCANの中でもかなり薦めやすいアルバムなんじゃないかな?フルで全曲好きなのはこれとフューチャーデイズ位かも…。ともかく、ここからCANを聴き始めるのも割とありなんじゃないかと思います。ボーカルが受け付けなかったら頭を切り替えて、サード以降から入りなおしましょう。ある程度…はちゃんとしたボーカルが聴けます。

宣伝用の動画はこちら
tr2. http://www.youtube.com/watch?v=mvxYqi4AMa4
今でも余裕で通じそうな独特で、素晴らしい雰囲気を持った曲。CAN云々じゃなく、ロック好きに広く聴いてほしい一曲ですね。ここでのムーニーはヘタウマ的な良さがある気が。
tr4. http://www.youtube.com/watch?v=hWl7qSXEuV4(10分30秒のショート版)
問題の一曲であり代表曲。とりあえずボーカルに抵抗があっても、3分目、一回目の爆発位までは聴いてあげましょう。「疼くギター、錯乱するパーカッション、リードベースの走行とシュミットのキーボードによる白熱と言った全てが、溶岩のような増大を繰り返しながらロックという惑星の上に新たな地殻を形成し、古びたものを消し去る」(2005リマスタ再発付属解説の日本語訳)とまで評論家に言わしめた曲は、12時間ぶっ続けという狂気の即興セッションから生み出されたそうで。人間ってこんなところまでいけるんですねって感じの曲。どっかの民族儀式で使われてそう

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タグ: 60s 30分台 傑作 デビュー・アルバム

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プロフィール

サム

Author:サム
旧「一人音楽座談会」。
音楽に限らず、作品やアーティストに対する検索結果がもっと充実したらという気持ちで更新しています。「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。
背景はBOCの「Tomorrow's harvest」。Twitterは↓。

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