Bloodthirsty butchers / KOCORONO (1996) 感想

訃報を聞いてから幾つか日が過ぎましたが、ふと自分のこの作品の記事をみると「そんなもんじゃねぇだろ…!」と勝手に憤慨してしまったので、2011/5/28の記事を今回個人的に全編書きなおします。とはいっても今作は、もう誰が何を今さら言わなくても多くの人の心を揺さぶり、普遍的な名盤となった作品なので別に語らなくても良いとは思います。でも同時に、全員が同じ感想になるような単純な作品でもないと思うんで、自分も、自分なりのkocoronoに対する思い入れをここに残しておこうと思います。

kocorono完全盤(紙ジャケット仕様)kocorono完全盤(紙ジャケット仕様)
(2010/03/10)
bloodthirsty butchers

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邦ロックの名盤として名高いbloodthirsty butchersのkocoronoを再レヴュー。ビッグマフ!!! 

(佳曲)<太字(好み)<普通 赤太字は名曲 灰色は好きでない、下線は個人的なベストトラック
トラックリスト
1. 2月(フェブラリー):親愛なるアレックスさんへ
2. 3月(マーチ):青空
3. 4月(エイプリル):『大人になんか解ってたまるものか!』
4. 5月(メイ):インスト
5. 6月(ジューン):あめ,アメ,雨
6. 7月(ジュライ):心
7. オーガスト(オーガスト):8月
8. 9月(セプテンバー):ぼく
9. 10月(オクトーバー):黄昏
10. 11月(ノヴェンバー):インスト
11. 12月(ディセンバー):トウキョウ

Total length : 56:56(本編のみ)

総評・★★★★★+
この作品に感動できて良かった 
ひたすら感情を揺さぶる名盤

個人的な今作の魅力を一言で表すなら、ロックのマジック。ソレに尽きます。その不器用さからくる他のどこにもない魅力的な抽象感は奇跡的なものであり、他のどんな作品にもないどころか、彼らの他作品でも作り得なかった、まさしく今作だけの奇跡、マジックなのです。
 
吉村さんの不安定で不器用な佇まい、それこそが魅力
まず吉村さんのボーカルですが、一般的に見て、どう考えても下手です。とても不安定な響きを持っていて、まだ逞しいシャウトもなく、線としても細い感じがします。そしてその日本語詩に対する一本調子なメロディの乗せ方も不器用としかいえないものです。しかし、間違いなく、それらの要素全てがこの作品の代えがたい魅力になっています。一般的な視点でいえば弱点になりそうな要素が、バンドの魅力として機能するこの矛盾。そんな、もうロックマジックなんて意味不明な言葉でしか説明できない情感がこの一枚には詰まっています

△がその魅力を生み出し、支えている
勿論ブッチャーズは一人でなく三人、△(あるいは□)でもって初めて完成するバンドです。メロディ楽器とベース楽器とを独特の感覚で並行させる大音量ベースの射守矢 雄さん、そして曲の世界を完璧に把握したうえでライブのエモ感をもったドラミングを叩き上げるドラムの小松 正宏さんの力強いサポートなくしてこのアルバムは成立しません。断言しますが、ロックバンドだからこんな奇跡が起きたのです。そんな奇跡は説明不要の邦楽ロックの大名曲、「7月(ジュライ):心」に集約されています。


ひたすら抽象的な歌詞がココロを打ち鳴らす
評価の高い歌詞に関して。今作で綴られた歌詞は、意図的なまでに直接的な表現が出てきません。具体的にたたきつけるのではなく、聴き手の想像力をかすめることで何かを連想させるような言葉が並べられています。このアルバムの何が素晴らしいかと言えば、バンドの鳴らす世界観が完全に歌詞と一致しているところです。この曖昧な表現で心に何かが伝わってくる。だから本当に、日本語がわかる人で良かったなぁと聴くたび思うわけです。

限りなくぼやけた世界観を、三人で描き切った
今作における三人の役割をまとめるとすれば、まず吉村さんの歌詞がキャンバスにバラバラと散らされ、そこにギターで抽象的な背景を描き、射守矢さんのベースが不思議な効果線でもって歌詞の断片を繋いでいき、小松さんのドラムが全体をまとめあげて躍動感を持たせるという感じ。これだけぼやけた歌詞に対して、3人が全員同じ方向を向いて曲を鳴らしているのは奇跡と言っていいと思いますし、他のバンド、そして当の彼らも今作のバンドマジックを超える事は出来なかったと思います。(言うまでもない事ですが、彼らは良いアルバムを今作以後も作り続けました)


…まだまだ書き足りないのですが、あまり無駄な事を書いていくのも失礼なのでこのへんで。とにかく思い入れの深い一作ですし、自分以外の多くにとってもそういう存在であるアルバムだと思っています。「ロックとは何か」なんて問があっても決まった答えはありませんが、自分が何か答えるとするなら、このアルバムが一番ソコに近い気がするのです。次は全曲感想でもつけれたら。

視聴用の動画はこちらから
7月・イントロから最後までひたすらぼやけた「夏」という言葉を△で描き切る説明不要の名曲
視聴はこちらから
8月・ロックらしい曲。アウトロの叩き付けるようなアコギとドラムに涙腺崩壊。
視聴はこちらから
といっても視聴で魅力を理解するのは難しい気がします。やっぱりまずは買って全部自分で聴けという感じ。
     

タグ: 50分台 名盤 否応なしに感情揺るがされる名盤

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サム

Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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