JASRACは必要か。訴訟問題から考える、その存在意義と著作権のあり方

すごいわかりづらい記事になってしまった上、こんな記事かいたそばから「パソコンも保証金の対象に」とか言い出したので、これは今度また書き直します。

jasrac_youtube05.jpg

最近JASRACがまた話題になっている。

JASRACの使用料徴収方式 「新規参入を排除」 東京高裁
東京高裁が、「管理する楽曲を一定額で使い放題にするJASRACの「包括徴収」方式は、他の業者の参入を排除する」と判断したのだ。もしこれが独占禁止法違反となるなら、著作権管理業界は大きく動くこととなる。

元々あまり好かれておらず、特にネット住民からしょっちゅう目の敵にされるJASRAC。またひとつ叩きやすい的が増えてしまったようだ。ネットでのJASRACに対する批判・叩きは2007年頃から加速しており、最近はあまり見なくなったが「カスラック」なんて言葉が浸透するほどの有り様だった。その印象から、JASRAC=悪い会社というイメージを持っている方も多いのではないだろうか。

しかし、ここで改めて、JASRACは本当にそう否定されるだけの存在なのだろうか考えたい。「著作権を盾に利権をむさぼるハイエナ」のような、漠然とした酷いイメージだけで判断してはいないだろうか。今回は件に関連した秀逸な記事を3つ紹介することで、JASRACについて、著作権についての認識を深めたいと思う。

(基本的に囲い線部(スマホなら箇条書きの部分)は引用だが、要約なので多少語尾が変わっている箇所がある。また、矢印からの文章は個人的な補足であり、作者の発言ではない)





 
JASRACは殺されるべき「悪」なのか~ファンキー末吉氏の紛争とJASRAC | Frekul Report
http://frekul.com/blog/report/2013/10/31/jasrac/
まずはこれでJASRACがどんな仕事をしているのかから改めて掴む。その存在意義の説明から丁寧な展開をみせ、最後にはミュージシャンにとっての現状の不満点も取り上げるものとなっている。
内容は実際に読んでもらうのが一番だが、もし要約するとすれば

・JASRACは、JASRACに登録された音楽について、著作権を「お金を貰う権利」に変えている。

・JASRAC登録曲については利用に関して以下の手続きがとられる。
 個人使用 ・ 原則自由(許可不要) 
   ↑私的な利用は許されるアレ
 商用再生 ・ お金を払えばOK(許可不要) 
   ↑ここがジャスラックの管轄
 商用改変 ・ 原則禁止(要許可) 
   ↑作品の改変などについては、お金を支払うだけでなく許可が必要 

・商用再生でJASRACに支払われたお金は、手数料を抜いた上で権利者に渡される。

・使用者からすると、余計な手間なく単純にお金を払うだけで音楽が使用可能になるので、使用までの流れが円滑になっている。 
  ↑コンテンツの自由化につながっている、という。

・音楽コンテンツの自由化に貢献しているものの、一部ミュージシャンからは不満の声もある
 A. ミュージシャン全体に入ってくるお金が少なすぎる
 B. ミュージシャンに入ってくるお金の分配が不公正である 
  ↑管理曲が多すぎて使用回数の計測が曖昧なまま分配されている。
    ここが包括契約と言われる部分(次の項にて説明)。
 C. 事務処理の簡便化のために融通がきかなすぎる 
  ↑作者本人でも使用にも許可がいる、など



簡単にまとめると、「楽曲使用料をミュージシャンのかわりにJASRACがまとめて管理、分配します」という話だ。


「包括契約」というのはピンとこないと思うが、この記事を読むとわかりやすい。

JASRACの審決取消で、新聞が書かなかったこと。
〜キーワードは、デジタル技術活用とガラス張りの徴収分配
http://yamabug.blogspot.jp/2013/11/jasrac.html?m=1
この記事ではJASRACの、今までの音楽業界に対する貢献について触れられている。
とりあえず要約すると

・問題となっている包括契約というのは、JASRACが、放送局と結んでいる契約の形態のことで、信託されている楽曲をまとめて許諾している仕組み

包括契約は、個別の許諾もなく、また番組制作の予算管理上も煩雑にならず、スムーズな番組制作と音楽流通という面で、放送局にも大きなメリットがある

・著作権に関する意識の面でも、これまでの日本の音楽市場、コンテンツ産業におけるJASRACの貢献は非常に大きい。
 ↑中国、その他アジアや新興国で著作権が蹂躙されている現状を見れば、確かにそれは明らかだ

・JASRACが古い体質を引きづっているのは事実だが、理事長、会長も替わり、脱却も始まっている。

・他の著作権管理団体にも悪い面・いい面があり、それぞれが成長していって欲しい

・包括契約については、デジタル技術により正確なデータが取れるようになってきている
 ↑前項でふれた「不公正なお金の分配」などの問題解決への道筋ができてきている


ここまで来てみると、やはり問題は「全部JASRACが悪い!」なんて単純な話ではなさそうだということが掴めてくる。問題となった包括契約もメリットのある形式であり、「独禁法にひっかかってる!」と一概に否定は出来ないのだ。JASRACに存在意義はあり、(批判はあれど)システムは機能している。勿論改善するべき点は多く残っているものの、「諸悪の根源を潰せば済む」ような問題ではないのだ。問題はもっと複雑で、これから更に議論を重ねる必要がある代物だ。

そんなJASRACについて、その歴史を踏まえて"肯定的"に記述した本がある。こういう視点から見るのも面白い。
JASRAC概論―音楽著作権の法と管理



まとめにはいる。2つの記事をふまえつつ、"著作権"というものの今後についてまとめた記事を一つ紹介したい。

福井健策氏インタビュー|著作権を活かすには デジタルコンテンツの功罪
Monthly Interview|HH News & Reports|ハミングヘッズ
http://www.hummingheads.co.jp/reports/interview/1310/131031_01.html#1
話は広がり、記事内には音楽のコピー、自炊代行、フェアユース、違法ダウンロードなどの話題も挙がっている。この記事に関してはそれぞれの意見が在ることだろう。実はこの3つの記事、どれも核の部分の結論が大体一致している。その核の部分を取り上げるため、記事内での福井健策氏の言葉を引用する。

「著作権がビジネスモデルを守るためにあるならば、ビジネスモデルが変わる時期に著作権の考え方が変わるのは当然です。言い方を変えれば、「著作権を守る」こと自体が目的であるかのような発想を変えて、著作権をどうやって「活かしていくか」という、転換が必要なのではないかと考えています。」



大事なのは、これからを見据え、「守る」以上に「活かしていく」こと。


JASRACにも、そうした対応を期待したい……。 


音楽業界の云々について、より詳しく知りたい方はこのあたりがオススメ。特に「誰が音楽をタダにした?」は面白い。
著作権とは何か―文化と創造のゆくえ

誰が音楽をタダにした?──巨大産業をぶっ潰した男たち


画像出典・http://blog-imgs-31-origin.fc2.com/j/a/s/jasrac55/jasrac_youtube05.jpg
     

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Author:サム
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「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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