特集記事・Cloud Nothingsについて オススメ曲・全アルバム感想

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クラウド・ナッシングスは、アメリカ・オハイオ州クリーヴランド(余談だが、彼らのデビュー時期2010年に「米国で最も惨めな都市」に選ばれた)出身のインディー・ロックバンド。ディラン・バルディ(画像の黒縁めがねの人です)の作るローファイポップがネット上でひっそり人気を集めていた所からスタートするも、バンド編成になってからの一作目、アルビニプロデュースのセカンド「Attack on memory」で鋭角・攻撃的なオルタナサウンドに激変。評論家からも大きな注目を集めることとなる。ある意味で時代錯誤なほど真っ正直なあの頃(80-90s)オルタナロックを鳴らすバンドの姿勢は、いろいろ装飾過剰な今だからこそ響くものがある。そういうと誤解されそうだが、彼らは単なる懐古バンドではない。ちょっと使い古された表現になってしまうけれど、その演奏の勢いは確実にリアル。これからも期待させるインディーロックの要注目株だ。

オススメ曲

Stay Useless - 2nd「Attack on Memory」収録
俗にいうインディアンセムで、彼らの十八番であるパンキーエモなオルタナナンバー。こういう曲を量産しているので、コレに少しでも引っかかるものがあれば是非アルバムに手を出してみて欲しい。

No future / No past - 2nd「Attack on Memory」収録
そしてこちらが、彼らが単なる威勢のいい若手バンドに留まらない潜在能力を感じさせる大曲。パンクバンドがSlintやったような、終盤の爆発へとゆっくり進行していくその緊張感、解放からの音の説得力は尋常じゃない。

Now Hear In - 3rd「HERE AND NOWHERE ELSE」収録
こちらが目下最新作の一曲目。彼らはどんどん加速している。

初めて聞くなら
詳しくは以下の作品紹介と共に書くが、彼らの音楽性(というか佇まい)は2nd「Attack on Memory」で一度更新されている。2nd以前は「宅録ローファイポップ」のような作風であり、2nd以降で「オルタナ・エモ系ロックバンド」になった。やはりその真骨頂は2nd以降の演奏の勢いにあるので、初めて聞く際は2nd「Attack on Memory」あるいは3rd「HERE AND NOWHERE ELSE」がオススメ。ハマったら遡ってファーストを聴くのが良いと思います。


全アルバム感想 

Turning onTurning on
(2010/12/14)
Cloud Nothings

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「Turning on」 ★★★
デビュー作となる初期音源の編集盤。CDJournalの記事を参照するに、「2009年冬、当時僅か18歳の少年ディラン・バルディが、自身の低スペックなPCで楽曲制作をスタートさせたことから始まったソロ・プロジェクト。ネットで楽曲をアップするや否や、そのローファイ・サウンドが口コミで噂になり…」という経緯からリリースされたようだ。

内容は「ザ・宅録ローファイポップ」。クソ音質だが、この頃から「キャッチーなメロディ」「掻き鳴らすギター」みたいな要素は健在だ。しかしまだまだ原石で、作品自体も発展途上感が魅力といった趣。ここからよく進化したなぁと素直に思う。ファンなら聴いて損はないし、ローファイ好きが聴いても楽しめるだろう。曲調は結構幅広く、飽きさせないという点では1stに勝る。pitchforkはここで既に7.9のスコアをつけ、彼に目を光らせていた訳で、これは本当に彗眼だった。リリース当時のディスクユニオンの作品紹介には「泣き虫ローファイ・ポップ !!今年のネオ・ローファイ第二波を代表する一枚!」と書かれており、今となってはかなり隔世感ある文章が読める。ともかくも、Cloud Nothingsはここから始まったのだ。

視聴はこちらから。この音、素朴すぎるメロディ。まだまだ未熟な原石です。
現在は、国内盤の1stを買うとディスク2で全曲補完可能な模様。



クラウド・ナッシングスクラウド・ナッシングス
(2011/02/16)
クラウド・ナッシングス

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01. Understand At All

07. Rock

02. Not Important

08. You're Not That Good At Anything

03. Should Have

09. Been Through

04. Forget You All the Time

10. On The Radio

05. Nothing's Wrong

11. All the Time

06. Heartbeat

Total lemgth : 28:02


「Cloud Nothings」 ★★★+

実質的なファーストアルバム。この頃からライブでは4ピースバンドとなるが、今作の作曲・演奏などはまだ全てディラン・バルディによるものである。ソロプロジェクトとしてはコレが最終作だ。

内容は、笑っちゃうくらいシンプルな「ザ・ローファイ・インディーロック」。前のめりすぎる演奏はCap'n Jazzに近いとも感じるが、この作品の場合、単に勢いしかなかっただけだろう(歪に褒めている)。その純粋培養すぎる初期衝動は、トータル28分ですら冗長という奇跡を見せる。前半はその勢いに惹かれるが、後半は完全にダレッダレ。しかしそんなどうしようもなさを愛する人も少なからずいるはず(私だ)。このバカ正直に自分の好きな音楽だけ鳴らしている感覚は、確実に最新作まで脈づいている。正しく原点。初めにコレはオススメ出来ないが、好きになってから聴くと余計このバンドに好感を持つ…そんな一作。勢いあってポップなので、ある意味リバティーンズ好きにも響くかもしれない。

ユニオン評は「泣き虫カウンター・パンチの連続に完全降伏!!」。彼らは次作でひっくり返る事となる

視聴はこちらから。前作に比べて、一気に弾けて勢いがつきました。未成熟感も魅力に。
お買い上げの際は、ボーナスディスクに前作「Turning on」が丸ごとついてくる国内盤を推奨



アタック・オン・メモリーアタック・オン・メモリー
(2012/02/15)
クラウド・ナッシングス

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01. No Future/No Past

06. No Sentiment

02. Wasted Days

07. Our Plans

03. Fall In

08. Cut You

04. Stay Useless

 

05. Separation

Total length : 33:47


「Attack on Memory」 ★★★★★
初聴きにオススメ代表作にして出世作。彼らはここで、「Cloud Nothings」というロックバンドに生まれ変わった。「プロデューサー、スティーヴ・アルビニ」という、彼らのルーツどんぴしゃの絶好球を真芯で撃ち返すことに成功したひとつの傑作。作品についてはこのインタビュー記事が詳しい。
Interview: Cloud Nothings | Private Dub
この変化については、「ライブで演奏していくなかで、バンドを音楽的に進歩させるレコードを作ろうとした」そうだ。90年代前半にタイムスリップしたような、(逆に)最新型のロックに触れたような、破壊力抜群の導入曲「No Future, No Past」から高らかにバンドの革新を叫び、アルバムは始まる。この曲に心奪われてしまえば、あとは最後まで一瞬で駆け抜けていくだろう。曲の粒も一気に揃い、その進化っぷりは「覚醒」という言葉がピッタリ。グランジやオルタナに愛着がある、最近のロックに興ざめしている、そんな人に是非届けたい現在進行形で受け止められるオルタナティヴ・ロック。歌詞も最高のものがならび、その演奏あいまって「ロックバンドかくありき」とか、アホなことを言いたくもなる作品だ。ピッチフォークが8.6つけたのもそんな理由なんじゃないだろうか。

音がハードコアに接近したため、Fugaziやらのノリを期待する人も出たそうだが、あくまで今作も核は「インディーロック」である事は重要なポイント。その上でこの音だからこそ、人気が出たんだと思う。ともかく、開幕でノックダウンさせ、あとは最高の軽快インディーオルタナエモを連発という絶妙な構成は、多くの人を打ちのめすはず。

視聴はこちらから。ついに覚醒
高まっていく緊張感、そして解放。本当に別バンド。そしてstay uselessのアンセム感!他も名曲揃いです。
国内盤は対訳・ライナーノーツなどが一通りそろっている模様。ボートラはないので、購入は好みによるかと。自分は輸入でした。


そして目下最新作については、コチラからどうぞ!
Cloud Nothings / HERE AND NOWHERE ELSE (2014) 感想
     

タグ: アーティスト紹介記事

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プロフィール

サム

Author:サム
旧「一人音楽座談会」。
音楽に限らず、作品やアーティストに対する検索結果がもっと充実したらという気持ちで更新しています。「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。
背景はBOCの「Tomorrow's harvest」。Twitterは↓。

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