今週の一曲① Blankey Jet City / 不良の森

特に長さを意識しないで、脈略ゼロに自分が好きな曲について書きなぐるこの企画。今回は、取り上げた楽曲が既知のファンに向けて書きます。記念すべき一曲目は、ブランキージェットシティで、不良の森(なんてタイトルだ…)。バンドのキャリア後期、「最高のアルバムができたので解散します」こと最終作「HARLEM JETS」に収録された一曲です。大好きな曲だけに気合いれて書いたので文の熱量が少しアレですが。どうぞ。

Blankey Jet City / 不良の森  11:14 (2000)

ブランキージェットシティはロックンロールの原始的な衝動性を鳴らそうとするバンドであると同時に、間違いなく、浅井健一の世界観、あるいはその価値観を表現するバンドであった。その世界観を一言で表すのは難しいが、彼の言葉を借りるなら、それは「純粋」という言葉であった。

彼らは6分に届くような長い曲も割と書くが、8分を越えてくるような大曲は二つしかない。デビュー時の音楽性の集大成であるサードアルバム収録の「悪いひとたち」(9分)と、ラストアルバム収録のこの曲、「不良の森」(11分)である。ファンなら頷いてくれると思うが、これは間違いなくBlankey Jet Cityというロックバンドからしか産まれえない名曲だ。自分がこの曲を好きな理由は沢山あるが、ここでは前述の大曲「悪いひとたち」と比較して話したい。

「悪いひとたち」があれだけ長いのは、浅井健一がとにかくひたすら言いたい事を詰め込んだからである。その歌詞展開をダレずに聴かせきる・盛り上げるため、アルバムバージョンでは土屋昌巳提案の下、楽曲は途中からストリングス隊をフルに使って仕上げられている。語り調、あまりに性急に物語を紡いでいくこの曲も、間違いなくブランキージェットシティというバンドの到達点だろう。

しかしこの曲はまた違うベクトルでブランキージェットシティの到達点なのである。まず歌詞だが、抽象的な表現と余白が増えたことによって、こちらの方が圧倒的に言葉数が少ない。そしてその代わりに、演奏部分が非常に長い。そう、この曲で浅井健一は、自身の言いたい事を全て歌詞にするでなく、その片棒をバンドが出す音に託している。そしてこの曲は、セルフプロデュースの下、この長さを3人のバンドサウンドだけで聴かしきるのだ(ギターの多重録音などはあるが、制作面という意味で)

生っぽい音とコーラスを用いた、冷たくも優しくもない独特な響き。歌詞や歌唱だけでなく、ギタリストとしてのベンジー、一つのベストプレイと言えるだろう。あえて淡々とベースラインを弾き切る照井さんに、いつも以上に緩急を意識した達也のプレイも名演である。

浅井の世界観を自分は「純粋」の一言で片づけたが、そこには物凄く人間的で複雑で感情が渦巻いている。この曲には、怒りでも切なさでも悲しみでも諦めでもない、本当に何とも言えない感情図が浮かんでいる(そしてそこが魅力である)。それを、三位一体・一つの曲として全員が捉えきれているように感じる。最終作において、浅井の世界観が三人のバンドサウンドだけで完成している、ソコにとても感じいる。移籍以降のブランキーは蛇足?。彼らはちゃんと進んでいたのだ。

自分はハーレムジェットが最高傑作だとは全く思わない。ただ、彼らは、「最高の作品が出来たので解散する」と言った。そうしてみてから不良の森を聞くと、確かに少しだけ、「ブランキージェットシティは完成したのかな」という気はする。それだけの、無二の名曲だと思う。

Blankey Jet City / HARLEM JETS (2000) 感想

Blankey Jet City 不良の森のコード進行について:弾き語りで新たに感じる楽曲の魅力

HARLEM JETSHARLEM JETS
(2000/05/10)
BLANKEY JET CITY

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タグ: 一曲じっくり感想

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Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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