Portishead 全アルバム感想

ポーティスヘッドの公式アルバム4つを全振り返り。
 

ダミーダミー
(1994/11/26)
ポーティスヘッド

いや怖すぎるでしょ…
01. Mysterons – 5:02 05. Wandering Star – 4:51 09. Pedestal – 3:39
02. Sour Times – 4:11 06. It's a Fire - 3:49 10. Biscuit – 5:01
03. Strangers – 3:55 07. Numb – 3:54 11. Glory Box – 5:06
04. It Could Be Sweet – 4:16 08. .Roads – 5:02 収録時間  49:16

1st。1994年作。総評・★★★★★ 
初聴きにオススメ。「映画音楽とブレイクビーツの融合」を掲げ、オールドレコードのサンプリングを多用して創られた音楽性は斬新で、数多の音楽誌から絶賛を浴びた。ポーティスヘッドといえばコレであり、今も多くのファンがいる作品だ。評価点は沢山あると思うが、まず何より歌ものとしての完成度がすさまじいことが長い人気の秘訣だろう。
「スパイ映画のサウンドトラック」をイメージして練られたトラックは音数が少ないのに深淵で、ベスの歌声はその中を気だるくさまよい歩き、アトリーの音色が絶妙に曲空間を捻じ曲げる。デビュー作にして完成されすぎた不世出の名盤。再生一音目でその世界に引きずり込まれてしまう。UK2位、ワールドワイドにて300万超という異例の大ヒットを記録。何はともかくここから入りましょう。その質感はメランコリーで非常にクール。単独記事はこちら。
視聴はこちらから


ポーティスヘッドポーティスヘッド
(1997/09/10)
ポーティスヘッド

後ろから殺気を感じる
01. Cowboys – 4:38 05. Over – 4:00 09. Only You – 4:59
02. All Mine – 3:59 06. Humming – 6:02 10. Elysium – 5:54
03. Undenied – 4:18 07. Mourning Air – 4:11 11. Western Eyes – 3:57
04. Half Day Closing – 3:49 08. Seven Months – 4:15 収録時間  50:30

2nd。1997年作。総評・★★★★☆ 
3年の沈黙をへてのセカンド。今作は「生演奏をサンプリングして編集する」というマニアな制作方法で産みだされた。一聴すると前作の延長線上だが、聴きこむと結構違う。何といっても今作の主役はベスのボーカル。前作にあった暗さは「愛憎」に、悲しみは「諦観・倦怠感」にまで行きついてしまい、「映画のサントラ」から、さながら「人間のどす黒い感情のサントラ」への変化を呈した
メロディの良さやキャッチーさは前作に譲ってしまうが、悲劇の・倒錯の・静かな狂気の女性までを歌い鳴らしきるその表現力はおぞましいまでの深化を遂げている。独占欲うずまく監禁的な歌詞といい、さながらサスペンス・ホラーだよ。とはいえ「歌もの」のツボはおさえられており、前作が気に入ったなら今作も必聴だ。かなり重いが聴きこむほど圧倒させられる。UK2位、US21位。ワールドワイドではまたもミリオンを記録の大ヒットとなったホント向こうって暗い。質感は気味の悪い生温かさ。単独記事はこちら。
視聴はこちらから。


PNYC~ライブ・イン・ニューPNYC~ライブ・イン・ニュー
(1998/11/26)
ポーティスヘッド

中々良いジャケなのです
1. Humming – 6:28 5.Only You – 5:22 9. Sour Times – 5:21
2. Cowboys – 5:03 6. Half Day Closing – 4:14 10. Roads – 5:51
3. All Mine – 4:02 7. Over – 4:13 11. Strangers – 5:20
4. Mysterons – 5:41 8. Glory Box – 5:37 収録時間 57:25

LIVE盤。1998年作。総評・★★★★
2nd発売後は積極的にライブをこなしており、その集大成的な作品としてリリースされたのが、ニューヨーク・フィルハーモニックを従えて録音されたこのライブアルバム。「ポーティスヘッドのライブってどんな感じなの?」という問いに最良の答えを提供してくれる、ファン必携の一作となっている。基本的に忠実に原曲を再現する構成だが(時々ライブ音源か分からなくなる曲もある)、どの楽曲もアグレッシヴな音づかいが増えてまたすこし違った表情を見せてくれる。Mysteronsのアウトロのキレある戻り、特にSour times後半のベスの震えるようなシャウトの連続(圧巻)による負の盛り上がりは原曲超えの怪演で、この曲を聴くためだけでも買う価値はあると思う。ポーティスヘッドのMVはどれも秀逸なのだが、このライブの映像作品もまた非常に美しいバランスでのバンドパフォーマンスが伺え、見ごたえがある。こちらも重ねて勧めたい。
視聴はこちらから。

ところでこの人たち、あろうことか過去一度も来日公演を果たしていない。是非いつかは来日してほしいものである。このアルバムを聴くとその思いが強まり悶々とするリスクがあるかも苦笑。そして、今作を置き土産に彼らはポーティスヘッドとして活動することをやめ、各自がそれぞれの音楽活動に散って行った…。


サードサード
(2008/04/30)
ポーティスヘッド

急にペイント感でた
1. Silence  - 4:58 5. Plastic  -   3:27 9. Small  -  6:45
2. Hunter  - 3:57 6. We Carry On -  6:27 10. Magic Doors -  3:32
3. Nylon Smile  - 3:16 7. Deep Water  -  1:31 11. Threads  -  5:45
4. The Rip  -  4:29 8. Machine Gun  -  4:43 収録時間 49:17

3rd。2008年作。総評・★★★★
そして実に11年ぶり(かなりのブランクだが、最近15とか20年レベルの猛者が多すぎて可愛く見えてしまう…)のリリースであり、目下最新作となるのがこのサードアルバム。長い年月をへたぶん変化も大きいが、重要なのは「トリップホップじゃなくなった」、あるいは「(いわゆる)歌ものから離れた」ところだろうか。前2作は、曲によって程度の違いはあれど間違いなく「歌ありき」だった。しかし今作は明らかに「サウンドありき」の曲が増えた。ジェフが参照したのはCANノイ!などのクラウトロック(力強い反復の中から熱を見出していく構成を主とする音楽)と、Sunn O)))などのドゥームメタル・ドローンで、 「踊らせないクラブ音楽」という自己の個性とうまく組み合わせたそのサウンド自体はかなり刺激的。アトリーのギターとの親和性も抜群だが、正直ベスのボーカルとの兼ね合いの妙には疑問。パーカッシブな要素が増えた分メロディ要素も前作からさらに後退し、「ダミー」を期待するほど肩透かしになるかもしれない。

サンプリングなしの生音だけを編集したのに、クラウトロックの影響を汲んだ打ちこみビートと組み合わさったその音像は過去最高にストレンジだ。かなりとっつきにくい音楽性になってしまったが、「巷の音楽が下らなすぎて」と放った今作のオリジナリティはやはり凄い。その分好みは分かれるところだが…。定型文的な耽美に逃げる並みのトリップホップ勢とは気合いが違うとは実感する。今までの流れからは中々ピンときづらい(?)tr1.6.8.9あたりは、ぜひヘッドフォンをつけてラウドボリュームで聴いてみてほしい。そうすることで今作の意図が見えてくる…かも。全体の質感は二分割で、混沌と沈痛。
視聴はこちらから。


もうそろそろ「フォース」でもなんでも出してこの続きを聴かせてほしいのだが、果たしてその時は来るのか…(2015年現在ここで筆は止まっている)


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コメント

No title

サム様 こんにちは

ライブ盤以外は全部聴きました。

サードをもう一度引っ張り出してみましたがやっぱりダメですね。
どうしてもハマりません。

>「ダミー」を期待するほど肩透かしになってしまうだろう
それを期待せずして・・・・・・というところがあるので。

ライブ盤に興味が出てきたので今度買ってみます。

Re: No title

GAOHEWGII さん こんばんわ
いつもコメントありがとうございます。

ポーティスヘッドもお聞きになるんですね!
是非作品についての話などブログで見てみたいです…。

サード、自分は長らくウーンでしたが、今回書くにあたって聴き直してたら思う所がありました。
でも、何が違うかうまく言えないんですがポーティスヘッドらしくないですよね、なんか。
とりあえず早く次の作品完成させてほしいです苦笑。

ライブ盤、良いですよ。名盤などというレベルではないですが、ファンなら誰もがホウとなるはず。

> サム様 こんにちは
>
> ライブ盤以外は全部聴きました。
>
> サードをもう一度引っ張り出してみましたがやっぱりダメですね。
> どうしてもハマりません。
>
> >「ダミー」を期待するほど肩透かしになってしまうだろう
> それを期待せずして・・・・・・というところがあるので。
>
> ライブ盤に興味が出てきたので今度買ってみます。

No title

サムさんおはようございます。
はじめまして。

生涯聞いてきた中で1、2を争うぐらいポーティスヘッドのアルバムが好きで
とくにNYCのAll mineが好きですね。
ちかみに争うぐらい好きなのがマッシブアタックのNo protection
最近一時に比べれば活動的になってきてますのでアルバム出して欲しいですね。


youtubeのグラストンベリー2013
Overは圧巻です。
https://youtu.be/KgzcFZhLxXo

2008年のライブ
Wonderig starはギターとベースのみで演奏してます。
https://youtu.be/Rimk-eAYOH0

サードは1枚目2枚目ほど聞き込んでませんが
ポストロックぽいとおもいました。
でもライブで混ざってきくと他のアルバム曲とも違和感ないですね。

Re: No title

年末年始もあり返信がとても遅れてしまいました。すみません…。

oceanさん、こんばんわです。

マッシブアタックとポーティスヘッドはどちらも素晴らしいミュージシャンですね。
自分も両者に次なる新作を期待しております。

Over、Wondering Starsと聴きました。
う~ん、やっぱり、初来日、実現してほしいですね。
この歌唱、スクラッチノイズ、生で聴きたい!

サードがポストロックっぽいというのは新説ですね。
かなり好み丸出しの音してるとおもうので、良くも悪くも雑多な印象です。
やっぱり「ライブ見たいなぁ」って感想に落ち着きます笑。

> サムさんおはようございます。
> はじめまして。
>
> 生涯聞いてきた中で1、2を争うぐらいポーティスヘッドのアルバムが好きで
> とくにNYCのAll mineが好きですね。
> ちかみに争うぐらい好きなのがマッシブアタックのNo protection
> 最近一時に比べれば活動的になってきてますのでアルバム出して欲しいですね。
>
>
> youtubeのグラストンベリー2013
> Overは圧巻です。
> https://youtu.be/KgzcFZhLxXo
>
> 2008年のライブ
> Wonderig starはギターとベースのみで演奏してます。
> https://youtu.be/Rimk-eAYOH0
>
> サードは1枚目2枚目ほど聞き込んでませんが
> ポストロックぽいとおもいました。
> でもライブで混ざってきくと他のアルバム曲とも違和感ないですね。

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サム

Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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