D'angeloのLIVEについて振り返る(SUMMER SONIC 2015 感想)

もう2週間も前のことになってしまったが、先日サマーソニック2015に参加してきた。深夜ホステス、そのまま日曜日のサマソニという濃密な一日。色んなアーティストを見たが(今回、ついに自分の音楽ライフにとって最も大きい存在であるRadiohead、そのトム・ヨークを見ることが出来ました…)、その中でも、D'angelo、D、ディアンジェロ(この3通りの呼び名を使います)。彼のライブパフォーマンスに圧倒されすぎて、言葉なんて余裕で失うくらい感動してしまったのだけど、少しは落ち着いてきた今、なんとかあの時の感動を少しでも文にして綴り残しておこうと思い、感想を書おうと思う。長いので飛ばし読み用に目次をおきます。

<目次>
D'angeloとは~公式初来日に至るまで
LIVE感想~継承者として
セットリストと曲感想~表現者として
ライブアルバム紹介~終わりに



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一時期の肥満も超え、肉体的輝きも取り戻し始めた

D'angeloは1974年生まれ、2015年現在41歳の、一般的にはソウル、ファンク、R&Bあたりにカテゴライズされつつ、ヒップホップに多大な影響をうけたシンガーソングライターだ。デビュー作「ブラウン・シュガー」(1995年)にして「ネオ・ソウル」と名付けられた当時の潮流を代表し、2nd「Voodoo」(2000年)では極めて高い音楽性の評価と共にグラミーのR&B部門を受賞 、肉体性を高めたバンド編成でのツアーと共に一時代、ひとつの頂点にたった人物である。
しかしそこからのキャリアは苦難続き。元々が寡作なうえ、過酷なツアーのノイローゼやドラッグ癖も絡み、彼は気づけば10年近くも音楽シーンから離れてしまっていた。何とか2012年にライブ活動などを再開し、2014年の終わり。BOCやマイブラよろしくの「出る出る詐欺」を超え、突如リリースされたのが3rd「ブラック・メサイア」、大喝采で受け入れられた待望の復活作、そこに続けて発表されたのが今回の、「公式では初となる来日公演決定」だった。簡単な流れはこんな感じだ。

今までD'angeloの音楽は聴いたことがなかったが、去年。まさに「ソウル、ファンク、R&B」といったカテゴリを基に時代をぶち抜いた「プリンス」に自分は大ハマリし、アルバム収集や映像検索、ロクに聞いてなかった上記カテゴリのアーティスト探索に明け暮れていた。そこで引っかかってくるのがディアンジェロだった。彼も「プリンス・マニア」であり、多大な影響を公言するミュージシャンとして有名である。そこで突然新譜リリース!かくして自分は「プリンス」を通じて「ディアンジェロ」にたどり着いたのだった。という所から、当日のライブ感想に入っていきたいと思う。


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高まり続ける会場のボルテージの中、暗転を抜けステージに現れたその名。
往年のファンにとっては20年近い時を超え、ついにライブは始まった


継承者として
最初にも書いた通りそのパフォーマンスは凄まじいエネルギーに包まれていて圧巻だった。まずはバンドがやばい。クリス・デイヴ(Dr)、ピノ・パラディーノ(Ba)、ジェシー・ジョンソン(Gt)…など、the vanguardと名付けられたこのメンバーは名前を検索していくだけでも凄い世界が広がっている関連メンバーは英語版wikiが詳しい)。その最強のバンドを率いまとめるのがディアンジェロなわけだが、その盛り上げ方、演出、動き、メンバーとのやり取り、そこにはまず、数多くのミュージシャンたちの影響や面影を見た。とにかく実感したのは、先人たちが歴史に積み重ねてきた音楽の遺産が、しっかり今に至るまで継承されてきているんだということ。そして多分、現在その最良の継承者として、この人が在るんじゃないかと。

いま、ジェイムズ・ブラウンを読むということ Part 4 / アラン・リーズ interview (3) | bmr
こういう面白い記事がある。これはジェームズ・ブラウン→プリンス→ディアンジェロのライブにかかわってきたという、歴史の証人の貴重なインタビュー。この3人は同ジャンルという括り以上に紐づきが強い。

ジェームズ・ブラウンについてはいわずもがな。「ファンク」、強烈なシャウト、ソウルフルなバラードといった音楽要素に加え、ダンスの取り入れ方、即興まで管理したライブ…と、エンタメの基礎まで築いたレジェンドだ。そのジェームズ・ブラウンのライブを幼き日に見、特にライブ演出において影響をうけたのがプリンス。彼もその継承者にして、打ち込みサウンドにテクノなど多ジャンルを取り込んでひたすら自己のメッセージを表現、世界を拡張してきた革新者だ。パフォーマンス(スタンドを倒して一気に引き戻すアレとか!)、ダンス、その場でキメの回数を指示するといったバンドリーダーとしての振る舞い、要求。この辺はまずJBが基礎(憧れ)となって獲得されたものだ。そしてそのプリンスに心酔したのがディアンジェロなワケで…。彼はヒップホップを手に更に世界を拡張した。この3人だけつまんでも、この流れはホントに「ブラックミュージック」(あまりいい言葉ではないが、敬意のみを込め用いる)が培ってきたものの強大さを、知識不足ながら感じざるをえない。


演奏がちゃんと盛り上がるかはともかく一度はやってみたくなるゲロッパ

そんな計り知れない源流と、その最新形までをDのパフォーマンスからは感じて、そこにまず感動した私事になるが、全盛期のプリンスを見ることがかなわなかった(時すでに生前の)自分にとっては、Dが例のスタンド倒しをやったり、キメの指示うち(JBやプリンスは主に4拍単位で指示を出すが、この人は2拍単位で連発という負荷のかけっぷり笑)を高速で連発するようなシーン、からタメのブレイク、反復…といったファンクグルーヴの流れを体験できたのは特にうれしかった…。ともかく。このあたりは、他の方が圧倒的な詳しさで色々な記事を書いているので、ここでは音楽メディア「Real Sound」の記事から一つひっぱって末尾としたい。
ディアンジェロ&ザ・ヴァンガード来日公演の意義とは? サマーソニック&単独公演を宇野維正が考察 - Real Sound|リアルサウンド


表現者として
既に長い。とりあえず、自分が最初に受けた感動を今振り返ると大体上のような思いからなんだと思う。最後に、実際のセットリストで特に印象に残った曲目について感想を書き残す。

上の画像にも載せたが、暗転から「D'ANGELO AND THE VANGUARD」のポスターが輝いた瞬間の興奮はずっとずっと忘れないと思う。開幕「Ain't that easy」はVoodoo続きのドス黒く揺らぐグルーヴ(これはJBにもプリンスにもなかったものだ)にギターを重ねた最新作を象徴する一曲。この演奏だけで、「こ の ラ イ ブ は や ば い」と確信したし、会場全体も別世界に持ってかれちまってたと思う。間髪入れずに曲が続いていき、3曲目で「Betray My Heart」。キレのいいギターリフとブラスが絡み合って昂揚していく、アルバムでも大好きな曲。コーラスワークも素晴らしかった。この曲、歌詞に合わせてハートマークを作る(恥ずかしい)振付を本人が動画指導しているんだが、「色々あっても愛される人たらし」の噂は伊達じゃなく(?)、この人に求められたらやるしかねぇなという気分にされた。クライマックスを迎えた瞬間メドレーで鳴り響いた「Spanish joint」のイントロにはもう変な声でた笑。演奏が異常でした…。ここまで4曲ノンストップ!


ここでは新世代から往年の名曲へ結ばれていくファンクの極み、Sugah Daddyを

「The Charade」はアルバム最重要曲の一つだと思ってる。原曲は3分ポップソングのフォーマットを初めて借りてまで大衆に届けられた強いメッセージソングだからだ。物販Tシャツにも刻まれた一節「話す機会を得ようとしただけなのに、死体安置のチョークを食らった」、茶番というタイトル含め強烈な怒りと奮起の曲。この曲だけ、ディアンジェロが手拍子でなく「拳を振り上げる」動作を求め、コーラス部、その歌詞の歌を観客に託したのも象徴的だと思う。「誰もがブラック・メサイアなんだ」という言葉通りの意図だろう。ライブではギターソロを大幅に拡張しその熱量が爆発、最後のD含めたトリプルギターといい最高の「ロック」だった。個人的にクライマックス。続くブラウンシュガーの合唱も楽しかったが、次の「Sugah Daddy」はまさにファンクレジェンズ直系の引用連打大パーティで最高に「ファンク」だった。最高潮のまま「ARIGATO!!」、暗転、アンコール…千手のドラムソロからそのまま、Untitled(How does it feel)。これについてはもう何もいえることはなく…一人ずつDとの抱擁のあとステージから去っていくメンバ(観客からはそのたび最大限の拍手が送られた)、最後にピアノの前一人座ってコチラ側に歌を、感謝を伝え去っていったディアンジェロ。大歓声、鳴り止まぬ拍手、1h20mのライブ終演……アレ、目から汗が…。


終わりに
心底ブッ飛ばされたうえ、ひとつの「頂点」(あるいは完全体のようなもの)を目撃してしまった気がして、「あれ、俺この次から何を見ればいいんだ…?」状態になってしまったが、それくらい素晴らしい体験だった。追体験としてオススメのライブアルバムを挙げておきたい。

1stリリース時のライブ。まだ今のようなファンク感は抑えられており、非常に洗練された演奏で聴かせる一枚。音質もクリアで鳴りが最高なのもポイント高い。今では小綺麗すぎるように感じ物足りなさもある内容だが、ファンは必携。Ladyが個人的ベストトラック。


Voodooリリース時のライブアルバム(非公式)。もとは流出音源なうえこのパッケージも非公式という非難されるべきアイテムではあるが、音質も満足いくもので、ピノが「リリースすべき」と提言しただけあり内容は最強に近い。一気に凶暴さを増した超絶テンションは、前作からの変化・進化が如実で必聴。Apple musicにも置いてあるので是非とも聴いてみてほしい。

ちなみに日本のD'angelo公認アカウントの方が今回の大阪公演をサウンドクラウドにアップしている。音質はさすがに全然よくないが、脳内補完をもって聴ける方はぜひ。生の迫力とは段で落ちますとか喧しいこと言いたくなるが苦笑、ホント公式でライブアルバムをまた出してほしい。切に。
Summer Sonic OSAKA 8.15.2015 by Team D'Angelo Japan ←アップロードには感謝しかない!


さて…ツアーも精力的にこなし続け、まさに今再び脂がのってきた彼はバンドメンバとのセッションも続けているそう。新作がいつになるかは本当に全く計り知れないが、5年以内には…いやそれはいい。とにかく新作発売の時を迎え、再び、絶対来日してほしい。絶対行きます。今は彼のバンドメンバーの音楽や、その辺りに関して探っていきたい気持ちで、楽しみな限りです。というわけで長すぎた感想記事も終わり。



サマソニ全体の感想も(こちらは今度こそサラッと!)書きたいところですが、最近は更新停滞でライブ日記ばかり書いているので、これまた再び脂がのってきたと感じたミスチルの快作、「REFLECTION」といったアルバム感想記事など挟んでいけたらいいな、と。またよろしくお願いいたします。
     

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Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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