Mr. Childrenの軌跡 part1 -初期①- (~versusまで)

初のセルフプロデュースを導入した18th「REFLECTION」を発表、様々な形のツアーを提示し、バンドとして新しいスタートをきったMr. Children。この記事ではそんな彼らのこれまでを振り返っていこうと思う。ことの発端と趣旨はこちらからどうぞ。

part1は、バンドブームの煽りから活動を始めデビュー、見事スターダムに上り詰めた彼らのいうなれば「初期」を取り上げていく。「青春」更にのぼって「思春期」とも形容された爽やかな曲調と歌詞、まっすぐなポップアプローチがまぶしいエバーグリーンな時期…からポップスターとして新しい装いを必要としたところまで。個人的には初期以降に思い入れが強いのだが、改めて聴くと(当たり外れあれど)このころの楽曲の良さに気づいた。素直な歌詞を書き、ポップメロディを追及していたころの桜井和寿と、ポップアレンジマエストロの小林武史。ふたりはやっぱりいいコンビだったのだ…。まだ「ロックバンドになろう」とする前でもある。今のミスチル像とは少し離れる、でも繋がってる…そんな時期を振り返ります。

初期(1st「EVERYTHING」~4th「Atomic Heart」)
Mr初期
芋すぎ若すぎワロタ

バンド結成からデビューまで
せっかくなのでバンド結成エピソードから始めよう。大ブレイクから20年以上たった今も変わらないMr.Children不動のバンドメンバーだが、結成にいたるまでの流れは驚くほど平凡だったりする。桜井和寿(Vo)が早生まれで1970年、田原(Gt)中川(Ba)鈴木(Dr)が69年生まれという同学年代の彼らは、まず桜井以外が同じ中学出身、桜井・田原・中川が同じ高校に通う者同士だった。高校にて出会った3人は、世のバンドブームに影響を受けた者同士意気投合し、バンドとしてデビューを目指しはじめる。そこで「良いドラマーはいないか…」と探して巡り合ったのが、中学の同級生という縁があった鈴木だ。この圧倒的身内感。バンドブームの中生まれた数ある「漠然と大ヒットやスターを夢見るバンド」の一つとして、彼らは何も特別なことなく音楽活動を始めたのだった。


インディーズ音源(?)らしい動画が挙がっているのでひとつ。1stアルバムにも収録されたこの曲、その名も「CHILDREN'S WORLD」。ギターリフがイントロを飾り、ベースがグイグイ曲を引っ張っていく、歌詞ふくめて初々しすぎるアレンジが頬を緩ませるポップロックだ。ライブハウスにて一定の人気をえた彼らは、プロへの誘いを慎重に選び抜き91年に晴れてトイズファクトリーからデビューすることとなった。プロデューサーは当時すでに桑田圭祐などとの仕事で名を馳せていた小林武史デビューを果たした時点で、2015年に至るまで「Mr. Children」と呼ばれる音楽を作り出してきたメンバーが揃っていたのには今でこそ驚くものがある。


「Everything」
92年作。1st. 総評・★★★
まだまだ数ある原石のひとつ

記念すべきデビュー作はこの上なく陽性のポップチューンが揃った、歌いっぷり、バンド演奏などいろいろまだまだな一枚となった。甘ったるさを強調したサウンドには時代を感じるものの、キャッチーなメロディセンスはすでに健在だ。デビューにあたり小林武史から作曲にはかなり手ほどきがあったようだが、その成果が現れたのが1stシングル「君がいた夏」だろう。ディミニッシュコードを効果的に用いた進行の妙…特にサビ後半のドラマチックな流れは桜井節の萌芽に思う。

ただ全体的には優等生どまり、まだ突出したものは見られないような。個人的には前述の「CHILDREN'S WORLD」がベストトラック。「時が思春期で止まってしまったかのような」と形容された、仰け反るほどの少年性は間違いなく初期Mr. Children最大の個性であり魅力だ。

「何か大きなことをしでかしたくて ウズウズしている」 
(CHILDREN'S WORLD)

そう無邪気に歌った桜井(22)は、スターダムに向けその足を進めていくのだった。ちなみに本作だが初登場時は100位圏外である。その後ブレイクにともない50万枚近くまで売上をのばしたが、彼らも最初から人気バンドではなかったのだ。



「KIND OF LOVE」
92年作。2nd. 総評・★★★★
小林武史がメロディメイカーとしての才能を引き出す

1stアルバムから7か月(!)で届けられた、初期の名盤と名高いセカンドアルバム。小林武史の「まずはしっかりとした曲作りを」との方針からバンドアレンジを意識せず、メロディに集中した内容を目指した結果、桜井和寿のメロディメイカーとしての才能が開花。このアルバムを聴くとよく分かるが、桜井のメロディセンスに「歌謡曲」の要素は薄い。時代と共にいわゆる「J-POP」の代表格になっていくバンドとしては意外だが、その感覚はアメリカンポップスに近く、今作では小林が手掛けた都会的なアレンジがそこによくハマって快作がうまれた印象だ。つまり小林武史の目論見通り。桜井はのちに子供のころ聴いていたフォークの影響が奇妙な形であらわにするわけだが、メロディメイカーとしての最初の輝きが今作では聴ける。

しかし制作指針もあって楽曲制作に他メンバはあまり関与せず…2000年代中盤以降のミスチルに際限なく指摘された、「Mr. Childrenでなく桜井和寿と小林武史の二人バンドになっている」という問題が、ここで既に顔を覗かせていたりもする。ただキーボード(武史)が全面アシストを決めた楽曲は文句なく粒ぞろい。代表曲である純バラード「抱きしめたい」に上京の名曲「星になれたら」はいわずもがな、大人びた雰囲気が魅力的な切ない隠れ名曲「BLUE」(コード進行がすごい)、まさに桜井&小林、00年代以降幾度となく再生産されたピアノバラードの初出「車の中で隠れてキスをしよう」「いつの日にか二人で」も良曲で強い。ここでは「星になれたら」を眩しい当時のテレビ映像で

「動き出したぼくの夢 高い山超えて星になれたらいいな」
(星になれたら)

言葉通りアルバムは初登場45位、その後ブレイクと「抱きしめたい」の存在に伴って再評価され、最終的には最高位13位、120万近くを売り上げる大ヒット作となった(最高位が最も低いミリオン作という記録も残している)。制作方針は大成功、天才プロデューサー小林武史のもと、Mr. Childrenは着々と売れるバンドへの道を進んでいったのである。



「Versus」
93年作。2nd. 総評・★★★☆
バンドとしての成長を図った一枚

今回はしっかり1年近くのスパンをおいてリリースされた3rd。前作のあまりにツーマンすぎた制作を省みて、今作は海外スタジオをおさえ「バンド録音」にも力の入れた内容となった。このあたりの流れは最新作「REFLECTION」にも通じるところだ。アルバムとしては色々試みられているが(90年代ポップバンドって大体こうしたオールディーズアレンジを一通りやらされる印象があるが、やっぱり演奏練習になるんだろうか)、その成果はまばらといった感じ。この時点ではコンポーザー桜井の成長にバンドアレンジが追いついていない感覚を覚える。とはいえ詩作に影をおび始めたロック調の「Another Mind」などはリズム隊も光った佳曲で、ほかも後の名曲につながる様な曲調がチラホラ。バンドとしては確かな経験値をつめた作品だったのだろう。

曲としてはやはり前作からの延長線…つまり「桜井武史」ラインの楽曲、「LOVE」「my life」が強い。このあたりの思春期ラブソングを聴いていると、「ミスチルは初期」という人の気持ちもわかる。幻想的な「さよならは夢の中へ」も地味な名曲だ。初のCMタイアップをもらった「Replay」のサビをジャスト15秒に仕立てた桜井、同曲は初のオリコントップ20入りを果たし、アルバムは初登場3位!の大躍進を見せる。Mr. Childrenは「数多」から「期待のバンド」として注目を集めるようになり、ついにその時が訪れるのだった。


長くなってしまったので、part1はここまで。次回は初期後編として初のミリオンヒットからの代表曲誕生、そしてあの大ブレイクアルバムへ…の流れを追う。
     

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サム

Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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