Radioheadから見渡してRIP SLYMEとSONIC YOUTHで視線を定めたあの時

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DJ Shadow / Endtroducing...によせて

ちょっとしたキッカケや好奇心で、未知のモノに手を伸ばしてみる。実際それにハマるかはともかくとして、他の世界に目を向けてみるようなこの探検はいつだって面白い。音楽に限らず、様々な分野に言えることだと思う。ということで今回は、インディロック少年だった自分(今もだが)がヒップホップ周辺に興味をもった時の昔話です。

 
話は自分が高校生だった時に始まる。他記事でも何度か触れているとおり、自分が本格的に色々な音楽に興味を持つようになるキッカケはRadioheadだった。そのバンド名の通り(実際の意味とは異なるが)、実に様々な音楽をキャッチし、各人が個性を加え、レディオヘッドとしてのフィルターをかけ発表されていく、非常に密度の濃い彼らのアルバム。今も変わらず一番好きなバンドなのだが、彼らの音楽性考察は個人ブログから分析本まで枚挙なく、「レディオヘッド」から見渡すだけで、本当にたくさんのモノが見えてきて、それもまた面白かった。

読み込みました。特にライターの趣味丸出しでレディオヘッド関係なくなってすらいる最高のディスクガイドは。
この曲から影響が…とか、単純にこのアーティスト良いなとか。海外作家とか、これレディオヘッドに影響うけてそうだなとか。一個人やらに没入するとありがちだが、もうトムヨークが個人的にオススメする本とかも読破したりしてたのだ。今振り返ると、「トムガススメルンダカラ!」という思考停止状態とはいえ、一気に自分の外側に目を開かされた、良い経験だったのかなとも思う。


とにかくここで自分は音楽堀りの面白さを知っていったのだった。今回の話を進めるにあたって、当時から好きだったバンド(グループ)をもう二組あげる。



ひとつは、SONIC YOUTH
多分出会いはジョニー・グリーンウッド(RADIOHEADのGt)経由だと思うが、彼らの楽曲で最初にブッ飛ばされたのが「100%」だった。インディーの帝王と呼ばれた80年代を抜け、メジャーに移って「グランジ」をフィードバックした92年のアルバム、「DIRTY」のリードシングルである。「ソニック・ユースといえばギターノイズ」だが、アルバム一曲目をかざるこの曲、これがもうアホみたいなノイズから始まるのだ。そこから一気にダーティなロックンロールをノイズまみれで聴かせるこの曲にヤられた。

すっかりファンになって他アルバムも網羅した今聴くと、随分狙ったというか、「彼らとしては定型句な曲だったんだなぁ」と思ったりもするが、その得体のしれないキャッチーさが当時の自分に与えた衝撃ははかり知れず。「ノイズ」のカッコ良さが、ここで体に染み込んだ。また、彼らがすごしたオルタナの波来る80s→90sへのロックの変遷なども調べるほど滅茶苦茶面白かった。自分にとって90s周辺のインディバンドが原点になってるのは間違いなくこの人たちのせいおかげだ。ここでひとつ、素晴らしいサイトのリンクを置いておく。今ブログを更新するキッカケになってるサイトです。
グランジ・オルタナティヴの歴史 | GRUNGE ALTERNATIVE (グランジ・オルタナティヴ)の総合サイト



そしてもうひと組が、RIP SLYME。謎の取り合わせだが、世代の音楽はジャンルやら好みをぶった切って届くもの。周知の通りその音楽ジャンルは「ヒップホップ」だ。ただし彼らの音楽は、一般的なヒップホップという枠組みを(良くも悪くも)超えたものだった。主にDJ FUMIYAが手掛けるそのバックトラックは、まさに「ミュージック」としか言えないジャンル・国を越境した代物。ファンクにブレイクビーツにテクノ、もちろんオールドスクールに、サンバ・電子音・レゲェ・チップチューンにサーフ時には軽いジャズと何でもありすぎるその音楽性、それが全て「ヒップホップ」という言葉でJ-POPの派生として集束されていく面白さ。彼らのスタイルは相当独自のものだったと思う(軟派すぎる姿勢もあり、批判も多かった)が、ここで自分は「ヒップホップ」に興味を持った。下手したら「音楽」と言ってもいいかもしれない。

本題に入る前に、RIP SLYMEファンとして布教活動させて欲しい。彼らのアルバムはどれも多彩な引用改造で楽しいが、個人的には「FUNFAIR」までの作が全盛期に思う。特にファースト「FIVE!!」はマイベスト30には入れたいくらい好きな作品だが、彼らの入口としてはベストから入るのがオススメだ。2種類あるが、どちらも入口としては大差ないかと。一曲一曲がどれも全く違う出発点から作られ、尚且つゆるすぎるラッパーたちのポップ感がそれをRIP SLYMEとして飲み込んでいく様は、今聴いても愉快痛快。個人的に最近の作品は乗り切れなかったりするのだが、新感覚のクロスオーバー著しい2015年、並行ジャンルを横断していったグループのひとつとして、再び注目されてほしい


閑話休題。まとめると、当時の自分は「レディオヘッド」から見渡して、「ノイズ」と「ヒップホップ」に視点を向けていた。とりとめない取り合わせだが、ここで、こう、実にピッタリのセールス文句がついた一作が目につくのだった。世界は広い。



名作と名高い、パブリック・エナミーのセカンドである。その謳い文句はこうだ…「攻撃的なサンプリングノイズ」「強烈なスクラッチノイズによる…」「歴史的名盤」「ヒッポホップ永遠のクラシック」
聴 く し か ね ぇ !
当時の自分は、胸一杯に期待を詰めてこのCDを中古屋で探した(新品で買う金はなかった…)。そして、見つけた。一体どんなヤバいノイズラップがくるのかと想いながら再生ボタンを押した…初聴きの感想だ。

「地味」
今聴くとまた違った聞こえ方があるものの、RIP SLYMEとSONIC YOUTHの分かりやすい部分だけをイメージして突っ込んだパブリック・エネミーは、自分にとって完全にレベル・ミュージックに聞こえてしまったのだった。全くハマれなかった作品ということで思い出深い。ただ、その悔しさでいろいろ調べたりして、そこで色々なことを知ったりした。この長文記事なんかもそのひとつ。
Masterpieces - It Takes A Nation Of Millions To Hold Us Back
こういう間接的接触も何かを掘る楽しみだったりすると思う。


音楽の話に戻って。ともかく、「何かクるものはないか」と自分は周辺をさらに漁っていった。とりあえずノイズはおいといて、RIP SLYMEから見ると、「まさに」な存在が見つかった



Beastie Boysである。洋楽界はもちろん、邦楽界でもDragon Ashほか相当な影響を与えただろう偉大なグループ…彼らの作品には実に色々な言葉が躍っていた。「元はハードコアパンクバンドだった」「ラップロックの基盤を作った」「jazz-funkの要素も~」「クラブシーンにも影響を与えた」
聴 く し か ね ぇ !

こっちはもう期待の通りというか、「やっぱりヒップホップってこうなんだ!」(もちろん一側面だ)と思わせる、完全にプラスの意味で実に雑多な内容だった。彼らもまた多種多様な「根」をもつミュージシャンで、また自分は終わりなき堀に向かっていったのだった。


自分のRadiohead出発ヒップホップ経由の道は、そこからトリップホップに向かい、国内では54-71にたどり着き(Radioheadファンブックのオススメに載っていたのだ。GJ!!!)、洋楽ではA TRIBE COLD QUESTTHE ROOTSに出会ってひと段落し、EMINEM以降のラップはなぜか大の苦手になったというところで、今にたどり着く。ほか何を聴いていたかはこのブログやTwitterに書いて(呟いて)いるとおりだ。



しかして最近、爆発的なPrinceマイブームからD'angeloへ飛んだ所で、ケンドリック・ラマーという存在を知った。2015年作の「To pimp a buttefly」は、すさまじい音楽情報量、そして言葉数を包括した強力な一枚だった。「レディオヘッド」から見渡した高校生当時とはまた違い、今度は「ブラックミュージック」(あまり良くない言葉だが、敬意のみ込めて総称する)から眺めての出会いとなった。今は改めて黒人差別の問題が大きく取り上げられているが、そうした動きの切迫感も伝わる、渾身の一作に感じた。


ということで、高校生のころを思い出しつつ今までをヒップホップよりに振り返ってきた。話のまとめ的な意味合いで、冒頭に張ったDJ SHADOWの作品について書いて締めようと思う。このアルバムは「世界初の完全なるサンプリングアルバム」としてギネスに乗る名作である。それは名リフ美味しい所取りといった話でなく、彼は過去の遺産を新たな視点で再構築することで、独自の世界を切り開いたのだ。山下柴陽さんの寄せた「ロック、ファンク、ジャズ、ヒップホップ……全てのレコード盤に等しく愛情が注がれた美しすぎる作品」という一節が本作の魅力をよく語っている。過去へのリスペクトと今の創造力が生み出した名作。

このジャケットが本当に好きだ。これからも色んなミュージシャンが、色んな角度から過去や今を見つめて音楽を作っていくだろうし、自分もその時の興味関心にそって色んなものにふれていく、関わっていくと思う。それは音楽だけじゃなく、読書も映画鑑賞もなにも。(自分にとって)新しいものに良いなと思うときって、何か世界が広がっていく感覚がある。実際、時々何かモノの見え方が変わったりする。上手くは言えないが、ここにはすごい価値があると思う。何に興味を持つかは人それぞれだが、自分にとっては今音楽がそれにあたる。まだまだ興味は尽きない。これからもいろいろなモノを掘り下げたいと思う。




…話としては以上なのだが、最後に。
高校生の自分…「ノイジーなヤバいHIP HOP」(改めて言葉にするとなんてアレな響きだ)を求めて辿りつけなかった当時の自分に、時がたってまた色々聴いていった今の自分から、二曲聴かせたい

IDMは苦手だった。低音が効いてるねぇなんて重いビートも聴けなかった。ただクールで、不穏で危ない響きが、アンビエントでない形で成り立っているものが聴きたかった。たぶんあの時求めていたのは、こんな音イメージ。
異端のUKロックバンドが手掛けた異色曲と、エクスペリメンタル・ラップグループが手掛けた一曲だ。



広がって、見つかって知っていくばかり。
     

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サム

Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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