2015年 個人年間ベスト

今年も個人的な年間ベストをまとめたいと思います。ちなみに去年はこんな感じでした。
2014年 個人的年間ベスト(洋楽):WITHOUT SOUNDS

メディア単位はともかくとして、個人の年間ベストって不思議なものです。そもそも1年単位なんて都合よく区切れる訳じゃない。色々考えてやってみても絶対後から「これ忘れてた…」ってなりますし、いろんな人の選出作を見て聴けば「これめっちゃ良いやん…」となり、一年間ですら結局追いきれませんし、全部は聴けないから完成はしない。でも、後で見てみて「何でコレが入ってるんだろう?」と思ったり、「この一枚は間違いない!」っていうものもちゃんとあったり。見える範囲で寄せ集めて、聴きこんでみて…そんな記録が積み重なっていくことに、個人単位で年をまとめる面白さがある気がします。


2015sBEST-min.jpg
自分の年間ベストは以下です。今年は邦洋混在で20作+次点5作選びました。順位基準に特に意味はないですが、バンドサウンドが好きなので、その辺りの感覚をもとに選んでいます。対象は2015年にリリースor国内盤が発売したものです。基本的にTwitterに投稿したものを再編集してまとめてます。毎度ながら長いので、気長にごゆっくりと…。

LIST
次点5作
TOP 20 - 11
TOP 10 - 6
TOP 5 - 1



-- 次点 --

The Cribs / For all my sisters
UKスリーピースバンドの顔であるクリブスの6作目。この時代に、このシンプルなバンドスタイルで3作連続全英TOP10入りってホント希望だ…。今作は初めて聴く方にも勧められるメロディの良さ、音の厚みがウリです。歌メロの横でギターリフ並走させるアレンジも最早鉄板の出来映え、安定作と言えばそれまでなのですが…最終曲「Pink Snow」が素晴らしい一曲で、はや10年選手になったクリブスの、変わったもの・変わらないものを感じて泣けました。ベテランの味わい。これからも末永く…。
The Cribs - Different Angle - YouTube


Courtney Barnett / Sometimes I Sit And Think, And Sometimes I Just Sit
字余り怖いものなしで喋り倒す鬱憤と日常、その勢い・痛快さがすごい。パンキッシュなエネルギーまであるのですが、ボーカルに陽性のヴァイブスは薄い。あくまでメインストリートを少し離れた、日陰、路地裏からのロック。かといってSavegesやらのダークなポストパンクに走るでもなく、あくまでポップにキメているのがカッコいい。ある意味ピストルズ系女子。メロの狭さを補うバンドサウンドが又良いです。しかしグラミーにノミネートされるまで注目されてたとは…。今年のインディロックの顔なんですね。フォロワーが沢山きそう。すでに完成してる感じがするのですがこれからどうなっていくのか。歌詞が重要なのとボートラに過去代表曲が収録されているのもあって、購入は国内盤を推薦。
Pedestrian At Best - Courtney Barnett - YouTube


吉田一郎不可蝕世界 / あぱんだ
Zazen Boyzのベーシスト「吉田一郎」のソロデビュー作。牧歌的な曲やZazen4あたりの曲調に加え、無機質なピアノやシンセフレーズを用いた楽曲に最後はノイズまで…とふり幅と潜在性がすごかった。すっとぼけたり、日常のワンシーンをうまく切り取ったりと、つかみ所のない歌詞も良い。電子に鍵盤何でもありの多彩なSSWといった趣。ぜひ第2作を聴きたい。
吉田一郎不可触世界 - 暗渠 - YouTube


Sam Prekop / Republic
シカゴを活動拠点とする、The Sea and Cake(大好きなバンドです)のボーカルであるサム・プレコップのソロ4作目。1st,2ndの歌もの路線から、3rdにてモジュラーシンセを全面的に取り入れたインストサウンドに転向した彼ですが、本作はこの路線での一つの到達を見たような作品に感じました。いい意味で時代やシーンに一切属さない音楽。シカゴらしいです。和音以前の単音の連なりを味わうようなライブも素晴らしかった。ジャケが200点
Sam Prekop - Weather Vane (Official Music Video) - YouTube


Prince / Hitnrun Phase One
去年11月、この人にドハマりしたことが今年の年間ランキングにかなりの影響を与えています。若きパートナーを見つけた殿下、前作に続いて絶好調です。評論家筋からの評判悪いですが全然悪くないし、こんなに市場気にせず渋くクール(かつポップ)にキメてきたのは00、90年代となかったのでは。EDMの影響が見えるものの、それは媚びるでなく、音をちゃんとイマに合わせようとした取組に思います。イマに繋がるカコを切り開いたアーティストが、イマを取り入れて作るカコの総決算。大ベテランの死せぬ魂を感じました。ジャケは0点(オチ)。プリンス論も最高だったしベストセラー化したようだしで是非!来日をそろそろ…はい。
動画URLははれません。プリンスだから…

< TOP20 - 11 >

20. Car Seat Headest / Teens of style
今年聞いたローファイ系インディロックで一番共感しました。超ヘロヘロVoで多重コーラスきめてくるリードシングル「Something soon」は思わず笑ってしまいますが、本人はマジそうなチグハグさがまた絶妙。KEXPで演奏を見ると、音楽性はまた違いますがDeerhunterらと同じく色々な指向が感じられて、次作も楽しみです。化けそう。
Car Seat Headrest - "Something Soon" Official Video - YouTube


19. Yo La Tengo / Stuff Like That There
今回は自他のカバー集です。全編アコースティック仕上げで彼ららしい豊富雑多な音楽が聴けないのには物足りなさもありますが、やっぱりヨラテンゴが鳴らしあげる音は心地よすぎる。年代を超えたカバーには、音楽の良さに時代を超える側面があることを再認識させられます。この作品が似合う一日を多く過ごしたい…。
Yo La Tengo - "Friday I'm In Love" Official Video - YouTube


18. Dawin Deez / Double Down
このご時世に、頑なにシンセでなくギターでインディポップを構築しようとする男(?)の3作目。声はいつも通り惜しいものの内容は今までで一番良い。今まではあたかも本格派SSWみたいなジャケだったのですが、今作はようやく音楽性に合ったヘンテコなジャケになりました。吹っ切れたのか、勢いある曲が並ぶ好盤です。タイムマシーンはキラーチューンで、The Mess She Maidは昨今のインディポップそのものなのにシンセ無という、研究成果が出たような佳曲。シーンの隅っこで自己の拘りを見せる一作でした。
Time Machine by Darwin Deez
Darwin Deez - The Mess She Made - YouTube


17. Nicolas Jaar / Pomegranates
散発EP乱打で目立ちませんでしたが今年の彼は絶好調です。AL単位は当サントラのみなので今作をセレクト。聴覚だけ異空間に放りだされる様な音像に震えます。悲しいのはこれだけEPを配信・サウンドクラウドで乱発しておいて、CDリリースは一切なかったことです。上の画像も、PomegrantesでなくNymphs Ⅱ EPのアナログ。なので下のリンクもNymphsⅡの曲。はやく真正フルアルバム作ってのCDリリースを世間にかまして欲しい…。
Nicolas Jaar - The three sides of Audrey / No one is looking at U - YouTube


16. トリプルファイアー / エピタフ
「だらしない54-71」なんて言われたら聴くしかないです。スッカスカのバックに掲示板の書き込みみたいな歌詞をひたすら飛ばす謎バンドの3作目。今作は「今日は寝るのが一番良かった」「トラックに轢かれた」と曲題からして極まってきた感あり。ベストトラックはワザとらしいポップさにクソのやる気もなく「掃いて捨てられるだけの俺がこだわってモノ選んでる」「1000足限定のエアマックスはいている」「コンビニ弁当は添加物にまみれてる」と、無感情皮肉まみれに喋っていく「こだわる男」。この曲のMVはやく作ってほしい。前作でいう「スキルアップ」ポジションの曲と思うんですが…。


15. The Steve McQueens / Seamonster
サマソニで出会いました。AOR、ソウルジャズに括られるらしいシンガポールの女性voバンドのデビュー作です。端正な編曲・残るメロディは勿論のこと、複雑なリズムの応酬が面白い。この辺に視野が向くようになったのは自分にとって今年の収穫。ライブ演奏がとてもよく、ツアーを経てさらに研ぎ澄まされていく予感がします。
The Steve McQueens - Seamonster - YouTube


14. Blur / The Magic Whip
おかえり作。「Ong Ong」での「I wanna be with you」→「I will be there with you」の流れは復活作として演出家すぎて涙。ブラーが往年のブラーとして帰ってきただけでなく、そこにデーモンがしっかりとした主題を乗せ、ちゃんとバンドメンバーが個々の活動を反映してバンドマジックを生み出していて…と、こんな復帰作なかなか見当たらない出来だと思います。詳しい感想は記事にて。
blur / TheMagic Whip (2015) アルバム感想


13. GRAPEVINE / Burning tree
「イデアの水槽」でオルタナに潜り「Twangs」で謎の境地に着地、そこからはポップとつかず離れずで我が道切り拓いている彼ら。今作もポピュラーソングで拵えてるはずなのにどこかおかしい曲が並びます。形容が浮かびません。何だこれ…。ベストトラックはバンドサウンドともに歌い上げる「IPA」を推したい。割と本気で、良い若手バンドは最終的に(活動方向として)今のグレイプバインみたいになって欲しいと思うくらい尊敬してます。


12. Metz /Ⅱ
近頃インディロックと聞くと如何にもひ弱なバンドを連想しがちですが、このバンドはガチさが。その演奏の気迫と緊張感に圧倒されました。特にThe Swimmerはハードコアの不協和音感覚でガレージパンクぶっ放す名曲。1月末に初の来日公演も控えてます。




11. BATTLES / LA DI DA DI
2000年代後半に現れた、マスロック・ポストロックに括られつつ多方面から注目を集めたバトルス、メンバー脱退から土台を建て直しての3作目。変則フレーズのループをドラムがバシッと一本柱に巻きとるダイナミクスよ。開幕3曲の流れは屈指で、特に一曲目の構成には久々にポストロックの良さを感じられて嬉しかった。ライブも最高でした。周りに関係なく自分たちが気持ちいいと思う音に向かって突き進んでる感じが気持ちいいです。
Battles - The Yabba (NYC Live Session) - YouTube


< TOP10 - 1 >

10. HEYROCCO / Teenage Movie Soundtrack
このアルバムタイトルよ。南カリフォルニアの青年たちが、オルタナやパンク、エモの王道で鳴らし替える日々の生活。こうしたギターロックは何時だってどこかで最高のものが上がってくる。影響モロなSanta Fe(キュアー)とVirgin(ニルヴァーナ)も良いですが、一曲目Loser Danielのメロディから既に目頭が…。全曲強いです。聴こう。bandcampのページが下です。
Heyrocco - bandcamp


9. Kurt Vile / b'lieve I'm goin down...
のっそり歩いていくフィラデルフィアのSSW6作目。都会にあって別の時間軸を生きてるような、スローライフ感がたまらないです。音も素晴らしく。詳しい感想は記事に書きました。
Kurt Vile / b'lieve I'm goin down...(2015) 感想


8. Ought / Sun Coming Down
1stの骸骨ポストパンクから一気にテンポを上げた2nd。The fallを上手く取り入れてると思います。不穏な和音感とvoの不敵さが様が非常にクールで、ワンセンテンスを執拗に繰り返す歌詞と共にリフを展開してくtr1,5が特にやばい。知的なポストパンクバンドとしてwireのように転がっていってほしい。まずは来日が望まれるところ。




7. ペトロールズ / Renaissance
東京事変のGt「浮雲」こと長岡亮介らのバンド、結成10年をへての1stフルアルバム。艶・脱力・ユーモア・間で繰り出す至極のバンドサウンドに痺れた。夜のシティポップとでもいうのか、定型を絶妙に外す楽曲はそこらの青二才を鼻歌で吹き飛ばします。最近よくある、M7ですかしたカッティングして都会の良さげな情景を歌うだけがオシャレじゃないんだよ…そうだよ…。必然的に音がそぎ落とされるライブ演奏も良いですが、巧みにギター重ねたスタジオ録音のアルバムが絶品です。特にtr6-9の流れは強力。


6. Hiatus Kaiyote / Choose Your Weapon
単にネオソウルと収めるには奔放すぎる、プログレとも形容された変幻自在の曲想は18曲70分でも底がしれない恐ろしい一作。なんとなく「ソウル」というと伝統的な音楽という印象があって、多くのミュージシャンは「往年の名曲」を目指すイメージがあるのですが、このグループはソウルのエッセンスだけ取って、ごちゃ混ぜにしてくる。プリンスの言葉につられて聴いたのですが大当たりでした。個人的なベストトラックは複雑な展開をへて曲タイトルのメロディにたどり着く「Borderline with my atoms」ですが、ここではMVのある下記曲を。
Hiatus Kaiyote - Breathing Underwater - YouTube


< TOP5 - 1 >

5. NOT WONK / Laughing Nerds And A WALLFLOWER
北海道は苫小牧の20歳弱パンクバンドのデビュー作です。もうストレートさが本当に気持ちいい。ひたすら上昇する演奏熱量で汗迸るあのライブは何度でも見たい。大ファンです。感想記事も書きました。気持ちとしては概ね10位のHeyroccoと同じです。こんなバンドが同郷からでたこともとても嬉しい。




4. Kendrick Lamar / To Pimp a Buttefly
プリンス、D'ときてたどり着いたひとでした。凄まじい音楽情報量、メッセージを包括した強力な一枚。凄まじいなと思ったのは↓でのパフォーマンスです。こんなクオリティのものがTVで放送されるとか嫉妬しか…後半2分には言葉を失う。せめて歌詞カードを追いながら聴くぐらいは必ずするべき作品。膨大な過去の遺産を継承し、その力を持って現代、現状にひたすら問いかけ続けるその迫力に感服しました。



やっとこさでTOP 3です。ここからの3作は個人的に図抜けて聴きこみました。



3. 吉田ヨウヘイgroup/paradise lost, it begins­
独特なコーラスとクロスオーバーな楽曲センスに加え、今作はオルタナ・マスロックばりのGtを軸に完全に独自のバンドサウンドを形成した印象。ドラムプレイといい、今の彼らは声以外割と無敵に思います。ライブ演奏にも衝撃をうけました。明らかにウィークポイントな歌唱(さらに言えばぶっきらぼうすぎる歌詞の譜割)も、曲に無機質さが増したことでいい意味でさらに浮き、都市の疎外感といった情感を獲得してきているような。次はどうなってしまうのか本当に楽しみ。




2. Mr.Children / REFLECTION
ここ10年時々名曲は産みつつも間違いなく迷走していたミスチルが、ついに完全に振り切った。「IT'S」で蘇生した2000年代以降の自分たちをセルフ更新する、自他ともに認める再デビュー作です。特に音楽的に変わったわけじゃない。小林武史の影響は依然強いですし、90年代の彼らに立ち戻ったわけでもない。チャリティ活動などの貢献はともかくとして、相変わらずU2のような割り切り方で、ロックバンドとして「世界をよくしよう」なんて器にもなれない。でも今作は、ただひたすらに、気持ちが突き抜けている。「進化論」を持ち出して「次世代に託そう」なんて姿勢は、ケンドリック・ラマーらの真剣な姿勢からすると批判されてしかるべきでもあります。しかし、歌と音の活力そのものに、このバンドの力・凄みを再認識できました。これも立派な音楽の形だと自分は確信します。うまくは説明できないです…。「未完」「Starting Over」だけでもう。様々なライブ企画でバンドとしても再生を図っている彼らに、これからを期待するばかり。


そして、1位は…



1. D'Angelo / Black Messiah
国内盤は2015年発売です(少し苦しい)。一番上は到達点的な…。例にもれずプリンスから入っていったわけですが、見事打ちのめされました。「ロックを織り交ぜソウル・ファンク、更にジャズも~」と言うは簡単も、その楽曲構造は自分の理解を超えてます。進行にリズム、ベースラインにすら思う、「なんでこうなるんだろう」。それでいて聴きやすさもあり、3分ポップに託すメッセージソングがあり、普遍的なバラードがあり、啓蒙的でもある傑作に思いました。来日ライブにも心から感動した。文句なしです。3月の再来日を全力で待機するばかり。詳しい記述はライブ感想記事にて

以上です。大ベテランも注目のミュージシャンもインディも、どこもかしこも素晴らしい音楽だらけで…少し疲れてしまうくらいですが、良い影響を受けながら、2016年も音楽を追っていきたいと思います。ブログも更新していきたい。来年もよろしくお願いします!
     

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プロフィール

サム

Author:サム
旧「一人音楽座談会」。
音楽に限らず、作品やアーティストに対する検索結果がもっと充実したらという気持ちで更新しています。「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。
背景はBOCの「Tomorrow's harvest」。Twitterは↓。

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