Whitney / Light Upon the Lake (2016) 感想


このジャケットについては後述のリンク先記事が良い見解を示していた。あなたに一輪の花を贈りましょう…。

太字(良い)>普通 赤太字は名曲 、斜体はリードトラック、下線は個人的なベストトラック

トラックリスト
1. No Woman 3:57
2. The Falls 2:20
3. Golden Days 4:02
4. Dave's Song 3:01
5. Light Upon the Lake 3:09
6. No Matter Where We Go 2:41
7. On My Own 2:14
8. Red Moon 1:42
9. Polly 3:26
10. Follow 3:26

Total length : 29:48

USインディらしい時代喧噪を脱したタイムレスメロディ
 
USインディから、如何にも"らしい"グッドミュージックの恵みが送られてきた。Whitney。まずはこの一曲を聴いてほしい。

こういうひたすら「良いなぁ」という気持ちに包まれる一曲を好きになった時、どうやったら「良いなぁ」以外の言葉を書いていけるのか未だに分からないけれど、このアルバムはまさにそんな感じの一枚で、何はともあれとても好きだ。


Whitneyは元Unknown Mortal Orchestra、元Smith Westernsの二人(どちらも系統は違えど非常に良いバンドなので、聴いたことがない方はぜひバンド名をクリック)を中心に結成されたインディバンドで、今作がデビューアルバムとなる。結成までの流れや今作評、関連作などはMonchicon!の記事が詳しく、アートワークのオチまでついた素晴らしい内容を書いていた。国内盤のリリースはないが、実際この記事がそのままライナーノーツといった仕上がりだ。
[REVIEW] Whitney - Light Upon The Lake | Monchicon!

『Light Upon the Lake』は往年のカントリー、ポップス、フォークといった音楽に丁寧な愛情を注ぎながら、「濁りのないポップミュージック」という、創作にヒット性や自我より先人への憧憬が先んじた、ある種インディバンド特有の空気を聴かせる一枚だ。ここでいう「濁り」はポップという単語に絡めた以上もちろん悪い意味ではなくて、だからこそ感想に詰まったりもするのだが、聴いていて「恵み」という感覚が浮かぶくらいの曲の良さがここにはある


アルバムはたおやかなキーボードから一気に視界を広げるようなホーンの響きで始まり、ファルセットとアコースティックギターの響き、折り重なっていくアンサンブルが聴き手を満たしていく。自分はこの先行曲「No Woman」が今作を手に取るきっかけになった。チェンバーポップという言葉も浮かび、全体としては少し異色の一曲とはなっているも、素朴な録音が場を引き立てた美しい佳曲だと思う。

アルバムの全体的なトーンは2曲目以降のカントリーポップスにある。こちらは逆に録音が少し物足りなく感じる部分もあるが、どの曲もメロディと重ねられる音の心地よさに浸らせてくれる。このへんはジャムに入らないときのWoodsも近いかもしれない。その中に少しお茶目にギターをきめる「No Matter Where We Go」を挟んだ30分足らずの構成が聴き手を飽きさせない。ベストトラックは「Golden Days」。2015年のKurt vile、LOS LOBOSの作品でも感じたが、こういう少し土着的なグルーヴが好きだ。後半のコーラスパートは間違いなく本作のハイライトだし、聴いていて何か心が満たされていくような感覚がある。

ザ・バンドなんてレジェンドも引き合いに出されているけど、やっぱりこれはプロミュージシャンズの完成された一枚というより、もっと親密な…自分たちの好きなものを集めて出来た手作りの音楽だと感じる。本当に自然体。歴史に銘打つでもなく、喧噪のはずれからこうしたタイムレスな一枚がひょっこり出てくるあたり、やっぱりUSインディが好きだなーと、改めて思う。それが弱点でもあるけれど……こんな一枚を自然に楽しめるような日々を望みたい。

Rating : 80 / 100  (★★★★)




≪関連作≫

Allen Toussaint / Southern Nights (1975)
Whitneyが本作を制作するにあたりモチーフのひとつとしたアルバムで、ニューオリンズを代表するミュージシャン「アラン・トゥーサン」のソロとしての代表作とされる一枚。音楽的な関連を見つけるのは難しい気もするが、酸いも甘いも噛分けながら、その中からあくまで人生のすばらしさを抽出したような雰囲気がたまらない。特にアルバムの中でも異質な表題曲の人肌の幻夜感、ピアノとボーカル処理は無二で素晴らしい。上の原曲を聴いてから、下のWhitneyカバーを聴くとまた味わい深い。
Allen Toussaint - Southern Nights - YouTube
Whitney - Southern Nights - YouTube


Lambchop / Nixon (2000)
Monchiconの記事にてWhitney作は「カントリー風味のソウル・ミュージック」とくくられているが、このアルバムには「音響派オルタナ・カントリー・ソウル」という、どういうこっちゃねんとツッコミたくなる脱臼しそうな帯文句をつけられた。正直Whitneyも今作もソウル要素とは違うのではと思うも、カントリーとソウルという、普段あまり交わりをイメージできない言葉を共通イメージに持たれた関連作としてどうぞ。

ラムチョップは1990年ごろに活動を開始したナッシュビルの大編成バンドで、Yo La Tengoが「アメリカでもっとも偉大なバンド」と評する存在でもある。本作は多分に政治的なテーマをあくまでサウンドの郷愁と包み込むアンビエンスで描き、[1001 Albums You Must Hear Before You Die]にも選出された一枚。私的ライフタイムベストのひとつです。特にtr3 - tr6の流れは至福で…横道にそれた先の一枚をぜひ。
Lambchop - Nixon - You Masculine You - YouTube
     

タグ: 30分台 16年 秀作

コメント

いいですよね

ラジオでPollyを聴いて、おおお!となってYoutubeなどで残りの幾つかを聴きました。いいですねえ。

Re: いいですよね

> ラジオでPollyを聴いて、おおお!となってYoutubeなどで残りの幾つかを聴きました。いいですねえ。

USインディの片隅からサラッとリリースされましたが、
Whitneyは掘り出しものでしたね。
カフェやちょっとした飲食店でもかかっていてほしいような、素敵な音楽だと思います。

コメントの投稿


非公開コメント

プロフィール

サム

Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

カテゴリ
Twitter
リンク
クリックで展開
NewCcounter