FUJI ROCK 2016で見たKamasi Washingtonが最高だった 感想

フジロック2016に行ってきました。そこで見たライブの所感はこれからゆっくり記事にしてしていこうと思うのですが、何よりまず、最終日Field of Heavenステージのトリを務めたKamasi Washington。タイトル通り最終的には「最高だった」で終わりなのですが、もう少し踏み込んで、一体どんなライブだったのか、書き残しておきたいと思います。

記事の内容
・カマシ・ワシントンと「THE EPIC」について
・ライブの全容
・演奏メンバーについて
・バンドとしてのハイライト



当日の模様に入る前に、まずは簡単に紹介を。カマシ・ワシントンについては、WIREDのインタビュー記事をどうぞ。
ケンドリック・ラマーもFly-LoもSnoopも絶賛! カマシ・ワシントンと甦るウェストコーストの黒いジャズ|WIRED.jp

彼が2015年に初のバンドリーダー作として発表したのが、3枚組(!)という超大作『The Epic』。そのボリュームともさることながら、「宇宙的」とも形容された交響曲スケールのサウンド、ブレイクビーツ的アイデアも見せる強烈なツインドラムス、それに圧されない各ソロパートのスリリングな駆け引き……加えてクラシカルなボーカル曲(これがまた抜群)を含む自由な構成、何よりカマシ自身の天を衝くようなテナー・サックスフォン。トータル173分という時間に尋常でない熱量とソウルを込めたアルバムでした。下のブログ記事も面白かったです。1970年代から始まり、MM誌の引用でドラムンベースやJ・ディラ、ケンドリック・ラマーまで登場していくこのスペクタクルよ……。音楽の醍醐味ですね。
しろくま通信: カマシ・ワシントンの続き(その5:これでおしまい)

ともかく、普段ジャズにほとんど関心を示さない(特に新譜情報なんてほぼ気にしない)自分のようなロック寄りリスナーにも、音楽メディア、Twitterなどからその存在感は伝わってきた。そうして軽い気持ちから今年手に取り再生した一曲目の「Change of the Guard」、飲み込まれるようなその演奏に打ちのめされ。そこに決まったフジロックへの出演、「これは絶対見なければ」と、思い入れ深いレッチリのライブ序盤を捨て、ヘブンステージに向かったのでした。


kamaPic-min (1)(遠い…)
夜も深まった苗場の一角、高まる期待の中、まるで導師のような装いのカマシ・ワシントンに次いでバンドメンバーが登場。アルバムと同じく、一曲目は荘厳な「Change of the Guard」でした。

とんでもない厚みで全楽器が主旋律を奏でた瞬間もう、このライブがとんでもないものになるのは分かった。ソロが回っていくたびにひたすら上がっていくボルテージに、後方に座っていた方もどんどん前方へ流れ込んでいき、この開始一曲だけでほとんど全てを持って行ってしまった気がします。カマシ・ワシントンは一曲ごとにメインソロを担当したプレイヤーを紹介していて、最終的に全員が主役となったのですが、何よりカマシ自身が演者に対し、笑顔を見せながらやさしくプレイを見つめていたのが印象的でした。

自分はカマシ・ワシントンのライブについて、弛緩を許さないアルバムの内容、ジャズ畑ということもあって、まさに一曲目のように「荘厳」、「厳粛」といった雰囲気をイメージしていたんですよ。どこまで高みに近づけるかというような、求道的な演奏。しかし、このバンドが見せたライブパフォーマンスをもし一言でいうなら、それは間違いなく「ファンキー」だった。形骸化した言葉でなく、「Life it ain't real funky, unless it's got that pop」と歌われたような"funky"。今この演奏にバンド、各プレイヤーが最大限に取り組み、それが聴衆に驚嘆と、何より楽しさとして還ってくる感覚です。とても幸せな空間だった。

これは夏夜の山中で繰り広げられた、アンコール込み1時間半の滅茶苦茶開放的なジャズ・ライブ・ショウだった。終演後に誰かが叫んだ「朝までー!」というのがすべてに思いました。行儀よく姿勢を正して聴くようなものじゃなかったです。



ここからは当日の模様をメンバーのプレイ動画と共に振り返ります。自分はTortoise以来ツインドラムという編成がとても好きなのですが、二人がリアルタイムにアドリブを投げかけあい、時にシンクロも見せていくステージングには痺れた。今演奏の骨格を形成していたのは間違いなくこの二人。上はフジでも披露された、「Dueling Drummers」と銘打たれた最大の見せ場です。Ronald Bruner Jr.(動画、帽子のひと)はステージの明かりにつられた虫(蛾?)に纏わりつかれてしまい、演奏中もスティックで虫を払い、曲間ごとにセットを離れ虫よけスプレーを吹きかけ……とかなりストレスのかかる状況にあったのですが、それもあってかハードコアばりに荒れをぶつけたドラミングが最高にカッコよかった


こちらはジミ・ヘンドリックスのVoodoo Childもカバーしている、ベース担当Miles Mosleyの楽曲(フジでも披露)です。まさかカマシのライブでロック調の縦揺れ&コールアンドレスポンス、リフ合唱をするとは思っていなかった。動画は3:10からのワウに歪ありのソロが圧巻の出来栄え。上のドラム対決と合わせて、どれだけ自由なライブだったか伝われば。Brandon Coleman(Key)の、その場でファンク、ディストーションギター、ブラスと音色を回しながら独り舞台を繰り広げるソロもやばかった。軽く調べても、この辺りのメンバーの諸作を追いかけるだけで楽しそうです。




最後にあのバンド演奏をしっかり讃えたい。上の動画が音質もクリアでよいです。フジの曲目では、アルバムでもトピックである「The Magnificent 7」と「The Rhythm Changes」が特に素晴らしかった。前者はタイトルに引っ掛けて(?)7/8の変拍子を用いた、少し初期スクエアプッシャー感、プログレ風ですらある複雑なナンバー。ラストへの緊張感、一体感が凄まじかった。後者はフィナーレが感動的すぎた。voと全楽器が一つとなり、「I'm here」という歌詞ともに何度も押し寄せる巨大でやさしい音の波。ジャンルは正反対ですが、陽光のシューゲイザーノイズを全身に浴びるような感覚に、少し泣きそうになりました。あれは大音量の野外フェスならではの体験。この曲は、コンパクトに収まったものをピッチフォークがアップしてたのでおいておきます。
Kamasi Washinton performs "The Rhythm Changes" | Pitchfork Music Festival 2016 - Pitchfork Videos - The Scene



さて、余韻さめやらぬ中で12月に来日公演も決まったカマシ・ワシントン。開放的だったフジとはまた少し異なる佇まいから、ビルボードの最高の音質で素晴らしいステージングを繰り広げてくれるのではないでしょうか。平日開催、金額、一日2ステージによる公演時間の短さ……となかなかハードルは高いものの、12月が今から楽しみです。


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タグ: 16年

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Author:サム
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「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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