NOT WONK / This Ordinary (2016) 感想 -ロックバンドが音をぶつければ


ジャケットは地元の風景とのこと。ステイの反転すね。

太字(良い)>普通 赤太字は名曲 、斜体はリードトラック、下線は個人的なベストトラック
トラックリスト
01. Unsad
02. On This Avenue
03. Don’t Get Me Wrong
04. Everything Flows
05. Boycott
06. Older Odor
07. This Ordinary
08. Satisfied
09. Golden Age
10. Like In The Cave
11. I Give You As You Gave Me
12. Worthwhile

Total length : 48:11

ロックバンドとしての成長、演奏をぶつける
1994, 5年生まれにして北海道は苫小牧から全国各地のライブハウスを駆け巡っているNOT WONK、一年ぶりのセカンドフルアルバムが届けられました。衝撃だったデビューアルバムについてはこちらから。メンバー自身「結構変わったけど、これが今のぼくら」というように、前作から一段(一作)飛ばしたような作品です。何より目立つのはハードコア要素への接近、パワー(or インディ)ポップ的良メロ感に囚われない作曲、自由なテンポチェンジと身のこなしで進む複雑な曲展開。ライブでの経験値・数多くの対バンから得たものを活かして、バンドとしてのネクストレベルへと前のめりに突っ込んだ様子が伺えます。

初聴きはキャッチーさの減退から戸惑いが大きかったものの、聴きこむと大きさに気付かされる。自分の年代だと、何となくアジカンの「ソルファ」(=前作) ~ 「ワールドワールドワールド」(=今作)への変遷を思い出したりして、まだ音楽メディアの煽りの中心外に在るインディバンドがそんな道をたどっていることに、「頼もしい」というのが一番の気持ち。録音もローファイ志向か妥協か危ういようなものでなく、自分たちが出したい音像をしっかり持っているのが素晴らしい。このあたりの方向性は、インタビュー記事をどうぞ。
Mikiki | NOT WONKがめざす、誰も辿り着けなかった王道~ハードコアなサウンドと普遍のテーマ追求した新作『This Ordinary』を語る



楽曲について
縦横無尽な楽曲陣はリード曲だけで捉えるには難しい内容。このままこの路線が進むとMansunのSixみたいになるんじゃ、ってな具合で少し不安と期待です。その中で、「On This Avenue」「Boycott」あたりのハードコアだろうが一発でブリッジまで飛んでいける瞬発力、「Unsad」「Don’t Get Me Wrong」「Golden Age」のUSインディ経由なクリーントーン使い、まさかの合唱を取り入れた「Worthwhile」と、バンドとしての全方位での進化を見せます。

最高に好きなのが次の4曲。曲名でニヤリとさせた上にギターソロでSuperchunkのあの名リフをもじってくる「Everything Flows」の性急なエイトビート感!「Older Older」のトリッキーなイントロと、一気にテンポを変えた後半のバンド全体で盛り立てていく展開!ここでのソロは対バンした吉田ヨウヘイgroupのGt(西田修大)に影響を受けたという経緯も良い。リードトラック「This Ordinary」のサイコキャンディばりのヒリヒリしたギター音にエモメロディをぶつけたアンセム的無敵感!「I Give You As You Gave Me」のUKバンドばりのキャッチーなコーラスは彼らのポップセンスが光る一曲です。



彼らが目指すのは何か
さて、1stは周囲が「パンク」に包括してしまった気がするのですが、2ndは「エモ」に括られそう。そんな括りはどうでもよくもあるのですが、エモというぼやけた言葉には「泣き」の要素、日常が積もらせた感情やセンチメンタルが音に発露したような感覚があります。しかしNOT WONKにその要素は薄い。「若いバンドの青春物語」的なイメージを煽る記事タイトルも結構見ますが、少なくとも彼ら自身はあの感覚を命題にしてはいない。

じゃあ何を目指しているか?ここには初期パンクスが示したスタイルへの踏襲も、90sオルタナ勢への敬愛も、そして何より重要な部分として00s以降のインディーロックへの強い共振もあります。そうした長く豊かな歴史への、その時々のバンド(NOT WONK)としての目線を窮屈な言葉にする必要はないものの、今作を聴いていると、多分彼らが目指しているのは――ロックバンドとして演奏を”本気で楽しむ”、そしてその本気と楽しさをこちらに”ぶつける”、そしたら、「さぁ、どうなる?」――そんな感覚じゃないかと。それを叩きつけてくるのが彼らのライブで。だからこうして進化を見せつけられると、「何処まで行ってくれるんだろう」と期待せずにはいられない。バンドが音を鳴らすだけで、蹴りだす速度でどこまでもいけそうな…。シーンに属すとか壊すとか、そういうの超えた所から最大音量で音を鳴らして。

Rating : 83 / 100


<関連作>

Heyrocco / Teenage Movie
2015年作で年間ベストにも選んだやつ。こちらは南カリフォルニアの青年たちがオルタナやパンク、エモの王道メロディでガレージロックを鳴らした日々の生活譚です。00年代インディをスルーしている点で大きく異なりますが、NOT WONKと同じく「やっぱりギターロックが死ぬこたぁない」と思える好盤。
HEYROCCO - "MELT" - YouTube
     

タグ: 16年 40分台 80点台

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サム

Author:サム
旧一人音楽座談会。
「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。普段はTwitter↓にいます。

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