Diary#01  17-01_01

2017年一月の記録まとめ、今回は読んだ小説と見た映画のメモ。前段はここ。
(画像は張るのが楽なのでAmazonのものです。)


・小説:「居心地の悪い部屋」
・映画:クエンティン・タランティーノ


◆「居心地の悪い部屋」
久々に新しめの本(2012年発売、2015年文庫化)を手に取りました。

「昔から、うっすら不安な気持ちになる小説が好きだった。読み終わったあと見知らぬ場所に放り出されて途方に暮れるような、なんだか落ち着かない、居心地の悪い気分にさせられるような、そんな小説。」
(編訳者あとがきより)

そんな訳者がまとめた、海外作家による12編の短編集。これだけで魅力的なうえ、タイトルと装丁がまた、引き寄せられるものだった。
居心地の悪い部屋
本当に何とも言えない話が並ぶ。「ジャリのまぶたを縫い合わせてしまうと、へべはそこから先どうしていいか分からなくなった。」「どう眠った? ――スコットランドの狩猟小屋のように眠ったよ。」こんな調子にどんどん物語(かどうかも怪しい文章の連なり)が始まっていくもんだから、粗筋やシチュエーションを説明しようとしても要領を得ようがない。小気味よく進んで最後で綺麗に裏切ってくれるようなショート・ショートを期待すると、たぶん全く受け付けないと思う。本当に奇妙、しかも入口だけあって出口はないような、性質の悪い怪短編集だった。

自分が一番引っ掛かったのはレイ・ヴクサヴィッチの「ささやき」という話。とある出来事から自分が寝ている間にレコーダーを回してみたら、見知らぬ声が録られていて……という、ここだけ抜くと割とありがちなんだけど、無駄話の感覚がすごい。

「テレビはしばしば俺の瞑想タイムと化す。よくやるのは、チャンネルをつぎつぎザッピングして、セリフ一行とか、叫び声一つとか、ビルの爆発音一つとかをつなぎ合わせて、筋の通った一本の番組を作りあげるというやつだ。 (中略)宇宙は仏陀の微笑みに変わり、俺は青く澄明な世界とコンタクトする。」

短編集がひとつだけ翻訳されていたので粗筋を眺めてみれば、今度は「こうしてぼくたちは休暇を過ごすために、だれもが常に巨大な金魚鉢を持ち歩かねばならない世界へテレポートする」「彼女の手編みセーターの中で迷子になる男」といった概要で、これはもうこのひとの作品手に取るしかないと。今積んでいるので、コレもそのうち読みたい。



◆クエンティン・タランティーノ監督の映画
なんか昨年からタランティーノ監督にハマってる。どんなに深刻なテーマを扱ったとしても、それが単純な個人の映画趣味にまで落とされてるのが肌に合うのかもしれない。ユーモア、悪趣味、どっちかは分からないけど。参照ネタ不明でもシナリオとキャストだけで一気に見てしまいます。今回見たのは以下の3つ。


「イングロリアス・バスターズ」
感想としてはとにかくクリストフ・ヴァルツのキャラがすご過ぎて、一発でこのひとの名前を憶えてしまった。そしてストーリー、"ナチスもの"なんて危険すぎる題材・史実に対して、こんな脚色が許されるんだと。いくら世界公認の悪役(これ最低な物言いだけど)とはいえ、怒られないんだろうかと思ったら、ドイツでは「伝用ポスターや壁紙にナチの徴章を使用することは許されないが、ドイツの法律に従えばこのような制限は「芸術作品」には適用されない」から公開できたとか。すごい懐。めっちゃ面白かったです。
イングロリアス・バスターズ - Wikipedia
ところで、やたら詳細なWikiページをたまに見かけますが、これもその一つ。大体「English」版のページを訳したものなんですよね。誰が取り組んでいるのか知らないですが、ありがたいですわ……。このひとに寄付したい。



「ジャッキー・ブラウン」
生活苦を抜け出したい中年スチュワーデス、武器商人、保釈保障業者、どこか間抜けな元銀行強盗(ロバート・デ・ニーロ…)というよく分からないひとたちの人生が交差するクライム・ドラマ。これは渋かった。なんとなく30代後半くらいで見返したい。哀愁極まるラストシーンのBGMったら、もう必然的にこの曲への思い入れが増した。にしてもボビー・ウーマック、ゴリラズで初遭遇、Princeから掘って偶然再発見、でこの映画となんか縁を感じる……。
Bobby Womack - Across 110th Street



「ヘイトフル・エイト」
猛吹雪のなか、たった一家で繰り広げられる密室心理サスペンス西部劇(?)。黒人白人男性女性"ほぼ"全員「悪」。マジで清々しい。これ、バッドエンドじゃないんだけど、試合に負けて勝負に勝つというか……そういう展開は基本大好きなのに(『スローカーブをもう一球』とか)、ここまで爽快感のない勝ち方初めて見た。ハリウッドにありがちな、「共通の敵を見つけて一つになる」展開をとことんエゴくリアルに描いて否定するような、後味の悪い笑顔が脳裏にこびりついてしまって、一番ヘビーだった。ただ内容としては同系統の『レザボア・ドッグス』の方が好きかな……全部面白かったけど!

残るはジャンゴとキルビル、デスプルーフ。次はジャンゴ見る予定。
     

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プロフィール

サム

Author:サム
旧「一人音楽座談会」。
音楽に限らず、作品やアーティストに対する検索結果がもっと充実したらという気持ちで更新しています。「もう一回聴いてみよう」「こんなのもあるのか」が好きで、「これだけ聴けばいい」が嫌い。
背景はBOCの「Tomorrow's harvest」。Twitterは↓。

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